Management LABO 経営会計事務所

【税理士解説】2026年4月施行「住所等変更登記の義務化」と相続・税務への影響

26.05.12
生前対策
dummy

皆様、こんにちは。 

2026年(令和8年)4月1日より、不動産登記に関する新たなルール「住所等変更登記の義務化」がスタートしました。

不動産をお持ちの個人・法人すべてに関わる重要な制度です。

今回は税理士の視点から、すでに始まっている相続登記の義務化との関係性や実務上の注意点を中心に、制度の全体像をわかりやすく解説します。 

相続登記の義務化(2024年4月〜)

今回の住所変更登記義務化の背景にあるのは、深刻な社会問題となっている「所有者不明土地」の解消です。この問題について、原因の約63%が「相続登記の未了」とされており、その解決策として以下のルールがすでに施行されています。

・2024年(令和6年)4月1日より、相続登記が義務化されました。
・不動産の取得を知った日から3年以内の申請が必要です。
・正当な理由なく放置した場合は、10万円以下の過料の対象となります。
・過去の相続にも遡及して適用されます。
施行前の相続については、2027年3月31日が申請期限となるケースが多くなっています。

住所等変更登記の義務化(2026年4月〜)

所有者不明土地問題のもう一つの原因は「住所変更登記の未了」です。これを解消するため、2026年4月1日から住所・氏名変更登記も義務化されました。相続登記の義務化と住所等変更登記の義務化は実務上、密接に絡み合っています。

・被相続人(亡くなった方)の登記簿上の住所が古いまま放置されていると、現在の住民票(除票など)との連続性を証明するための追加資料が必要となり、相続人の負担が大幅に増加します。

・相続登記を済ませた土地・建物でも、その後に相続人が引越しをした場合は、今回の住所変更登記義務化の対象となります。

・生前から住所を整えておくことが、残された家族の手続きを大きく楽にします。


資産管理への影響

住所変更登記自体は税金の制度ではありませんが、登記を放置することは、資産管理上のリスクに直結します。

不動産売却・融資のストップ 

相続税の納税資金を確保するために不動産を売却しようとしても、登記名義人の住所が古いままでは決済手続きが止まってしまいます。 

法人のM&A・事業承継への影響

本店移転や名称変更が多い法人の場合、登記情報が古いままだと、資産の棚卸しや事業承継の局面で証明書類のやり直しが発生し、手続きが滞る原因となります。

 

制度の全体像

今回スタートした「住所等変更登記の義務化」の全体像は、以下の通りです。

対象者

不動産を所有するすべての個人および法人(自宅・賃貸物件の区別なし)

期限

引越しや結婚等による住所・氏名の変更日から2年以内に登記申請が必要です。

罰則

正当な理由なく申請を怠ると、5万円以下の過料の対象になり得ます。

過去の変更(経過措置)

2026年4月1日より前の未登記分も義務化の対象ですが、施行日から2年間(2028年3月31日まで)の猶予期間が設けられています。

負担軽減策として、法務局が自動で変更登記を行う「スマート変更登記(職権登記)」の制度も導入されました。

個人の場合

法務局へ事前に「検索用情報」を申し出ておくことで、住基ネットと連携し、本人の了承を得た上で職権で変更登記が行われます(登録免許税は非課税 )。

法人の場合

会社法人等番号を通じて商業登記システムと連携し、変更が確認され次第、事前の意思確認なしに自動で変更登記が行われます(登録免許税は非課税)。

要点まとめ

・相続登記の義務化:3年以内・10万円以下の過料(2024年4月〜)
・住所等変更登記の義務化:2年以内・5万円以下の過料(2026年4月〜)
・過去の住所変更(経過措置):2028年3月31日までに対応必須
・未対応のリスク:未対応のまま放置すると、不動産売買、担保融資、相続登記の実務が止まり、余分な費用と手間が発生する

税理士から一言

「そのうちやろう」と後回しにされがちだった登記手続きに、ついに期限と罰則が伴う法的義務が生じました。法務局から催告(お知らせ)が届いてから慌てるのではなく、自主的に整えておくことが最も安全で確実な対応です。

特に、過去に何度も引越しをされた方や古い不動産をお持ちの方は、まずお手元の「登記事項証明書」や固定資産税の納税通知書で、登記簿上の住所が現住所と一致しているかどうかを確認することをお勧めします。

税務申告・事業承継・相続対策をスムーズに進めるためにも、登記情報は常に最新の状態に保っておきましょう。

ご不安な点があれば、お気軽にご相談ください。