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健康保険の被扶養者になれる範囲はどこまで?

16.12.27
ビジネス【労働法】
dummy
<ご質問>
他県で働いていた息子が会社を辞め、しばらく無職状態となります。息子には嫁もいます。本人から「夫婦とも健康保険の被扶養者にしてほしい」と頼まれました。健康保険の被扶養者資格には、どのような要件があるのですか?
【茨城・A社】
dummy
<回答> 
生計維持関係にあることが必要。子の配偶者も該当し得ることがあります。

健康保険の被扶養者になり得る家族の範囲は、健康保険法3条7項に記載されています。

(1)直系尊属、配偶者、子、孫、兄弟姉妹で生計維持関係にある
(2)3親等以内の親族で、同一世帯に属し、生計維持関係にある
(3)事実婚の配偶者の父母・子で、同一世帯に属し、生計維持関係にある
(4)事実婚の配偶者死亡後のその父母・子で、同一世帯に属し、生計維持関係にある


なお、(1)の範囲は平成28年10月1日から変更されました。「公的年金制度の財政基盤及び最低保証機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」は、平成24年8月22日に公布されました。名前は「年金法等を改正する法律」ですが、健康保険法改正も含まれます。

最も大きいのは、パートの加入範囲の拡大(従業員501人以上の企業で、週20時間以上、年収106万円以上など)ですが、被扶養者の範囲も修正されています。改正前、兄、姉は(1)の範囲から除かれていました((2)の3親等内の親族に該当するという扱い)。しかし、改正後は、兄、姉であっても生計維持関係にあれば、同居の有無は問われないことになりました。

3条7項では、直接、年齢には触れていませんが「後期高齢者医療の被保険者はこの限りではない」とあります。よって、75歳以上(寝たきり状態は65歳以上)の老親等は、被扶養者になれません。


年金関連では、たとえば、遺族厚生年金等は本人が結婚すると失権します(厚生年金保険法63条)。しかし、健康保険の被扶養者には、結婚に伴う制限はありません。

ですから、自分の子どもであれば、結婚し、別居していても、生計維持要件を満たせば、健康保険の被扶養者になり得ます。ただし、16歳以上であれば、生計維持関係にあることの証明書等の提出が必要になります。

子どもの奥さんは、3親等内の親族に該当します。こちらは生計維持関係のほかに「同一世帯に属する」という条件も満たす必要があります。


「子どもが会社を辞め、無職状態になった」というお話ですが、無職であっても一定以上の「収入」があれば、生計維持関係にあると認められません。雇用保険の失業給付や健康保険の資格喪失後の継続給付(傷病手当金等)も、「収入」の範囲に含まれます。1日当たりの金額を360倍し、年収換算した額を基準として、被扶養者に該当するか否かが判断されます。



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【記事提供元】 
安全スタッフ2016年12月1日号