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『ビジネスは“アイディア勝負”。広告界が育ててきた「発想法」に学ぼう。その3』

16.12.16
ビジネス【マーケティング】
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前回に続いて、『アイデアのつくり方』(ジェームス・W・ヤング著)をもとに、発想法についてご紹介していきましょう。

アイディア開発の「5つの段階」
(1)資料集め
(2)心の中でこれらの資料に手を加えること
(3)孵化段階
(4)アイディアの実際上の誕生
(5)最終的にアイディアを具体化し展開させる段階

今回は(3)孵化段階からです。
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ヤングは、この孵化段階では、以下のことを言います。

「いったん『問題をまったく放棄』して、音楽を聴いたり映画に出かけたりしろ」

「意識の外で、何者かが自分で、組み合わせの仕事をやってくれるのに任せろ」


皆さんは意識して、「問題をまったく放棄」する時間を持つように心掛けていますか?
なかなかできないですよね。

たとえば、朝トイレに入っているとき、お風呂場で髪を洗っているとき、歯磨きをしているとき、自動車を運転しているときなど、インプットという意味で外界と遮断されているときに、アイディアは突然やって来るものです。研究や論文、記事や書籍執筆の大元となるアイディアは、実にこういった「問題をまったく放棄せざるを得ないとき」にやって来るのです。

ヤングが言うところの(3)と(4)は、見かけ上はいったん問題を放り出しておきながらも、無意識に「常にそれを考えている」状態とも考えられます。
見かけ上放置することで、(1)と(2)での蓄積を別の角度から眺めることができ、新しいアイディアの誕生につながると考えられています。

そして、思いついた「アイディアの素」を、実際に使えるアイディアとして整えるときが、(5)最終的にアイディアを具体化し展開させる段階です。
ヤングは以下のように述べています。

「ほとんどすべてのアイディアは、それが実際に力を発揮しなければならない場で、ある現実の過酷な条件とか世知辛さといったものに適合させるために、忍耐強く種々たくさんな手をそれに加える必要がある」

「アイデアマンもこの適用段階を通過するのに必要な忍耐や実際性に欠けている場合が多い。アイディアをこのあくせく忙しい世の中で生かしたいなら、絶対にしなければならない」

「この段階までやってきて自分のアイディアを胸の底にしまいこんでしまうような誤りは犯さないようにしていただきたい」


この(5)の段階で、どれだけ粘り強くできるかも、アイディア実現の大きな要素になるのです。

次回は、『ビジネスは“アイディア勝負”。広告界が育ててきた「発想法」に学ぼう。その4』です。
大手広告代理店にお勤めの加藤昌治さんによるロングセラー著書『考具』から、発想法について一緒に学んでいきましょう。


佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法  


●プロフィール● 
佐藤達郎 さとうたつろう 
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。


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