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非正規雇用の特徴を把握し、雇い止め問題が起きないよう注意しよう

16.07.15
ビジネス【人的資源】
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正社員や正職員でない働き方を「非正規雇用」と言い、日本ではこの数十年、非正規雇用者の割合が増えています。

労働者が非正規雇用を希望していないのに、雇用主が正規雇用の機会を与えず、不安定で条件の悪い非正規雇用で働く男性や高齢者が増えていることが問題視されています。

むやみに非正規雇用者を増やすことは、企業イメージの低下につながりかねません。

今回は非正規雇用の注意点について、確認してみましょう。
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<複雑なのは「派遣社員」と「業務委託」> 

契約社員、準社員、非常勤、臨時社員、派遣社員、パート、アルバイト、嘱託などたくさんの名称がありますが、すべて「労働者」というくくりになります。企業体の慣行によって、それぞれの名称は自由です。

ただこの中で、「派遣社員」は会社が直接雇っているのではなく、派遣会社から派遣される者です。「労働者」には違いありませんが、直接雇用ではありません。 

もうひとつ複雑なのは「業務委託」です。業務委託は民間企業だけでなく、公的機関にも多く見られ、 「請負」や「委任」、あるいは「アウトソーシング」とも言われます。

業務委託とは雇用契約でなく、請負契約に従った人が、企業のために働くことです。

このケースはデザイナー、ライター、プログラマーなど専門業者が多く、「労働者」ではなく「個人事業主」となります。ただし、「個人事業主」に雇われた人たちは「労働者」です。


<有期契約に注意> 

日本の雇用関係は、昔から長期であることが特徴です。「終身雇用」という言葉に象徴されるように、転職はあまり善しとされませんでした。

しかし、高度経済成長の失われた20年、30年という間、企業環境が厳しくなり、企業はあの手この手で雇用の重荷を分散することを考えました。

その結果、多くの非正規雇用は「有期契約」になっており、契約が切れると「雇い止め」になる可能性があります。

この「雇い止め」が非正規雇用で最大の問題となっているのです。 


<東北大学で非正規3,200人の雇い止め>
 

雇い止めで問題になった直近の例として、東北大学の事例を紹介します。

東北大学ではおよそ3,640人の非正規教職員が働いています。正規教職員数は6,477人(2016年5月1日現在)です。

ところが就業規則の改定により、非正規雇用者について5年の更新上限が決まりました。 

この就業規則改定で、3年前の国立大学法人化から雇い入れた3,243人について、3年前の2013年から数えて5年目にあたる2018年3月31日で雇い止めにすると東北大学が公表し、紛争になっています。

なお、東北大学教職員の3分の1が非正規でありますが、これはいみじくも日本企業の平均的な割合と変わりません。

このほかに業務委託があるはずですが、どこの組織でもこの人数は把握できていないのが現状です。 

企業の雇用負担を軽減するために活用される非正規雇用。各企業は契約社員、パート、派遣社員、業務委託などさまざまなタイプを、必要な労働力に応じて活用することが期待されます。

また、有期雇用契約は雇い止め問題に直結することを肝に銘じ、トラブルが起きないように努めることも、経営者の責務なのです。


企業成長のための人的資源熟考 


[プロフィール] 
佐野 陽子(さの・ようこ) 
慶應義塾大学名誉教授。1972年慶應義塾大学商学部教授。87年から2年間、日本労務学会代表理事。89年から2年間、慶應義塾大学商学部長・大学院商学研究科委員長。96年東京国際大学商学部教授。2001年から4年間、嘉悦大学学長・経営経済学部教授。主な著書:『はじめての人的資源マネジメント』『企業内労働市場』(ともに有斐閣)。 


[記事提供] 

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