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コピーライターの技を、日々のビジネスに活かす。「1行の力」について。その2

16.07.15
ビジネス【マーケティング】
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前回から、「コピーライターの技をビジネスに活かす」という視点で、関係する書籍も参考にしながら、解説を行っています。 

新しい言語表現を作る方法として、細田高広さんは『未来は言葉でつくられる~突破する1行の戦略~』という本の中で、

(1)呼び名を変える
(2)ひっくり返す
(3)例える
(4)ずらす
(5)反対を組み合わせる

の5つの技法を提唱しています。 

今回はその中から、(1)(2)(3)の3つの技法についてご紹介していきましょう。
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まず、(1)の「呼び名を変える」という点について考えてみましょう。

ディズニーランドでは、働く人を“キャスト”と呼びます。キャストは、ミッキーやドナルドたちと一緒に、お客様=ゲストに魔法をかけるような存在です。

そんな理想像からすると、「バイト」や「スタッフ」や「ホスト」といった、今まであるレストランやコンビニを思い起こさせるような言葉はふさわしくありません。

そこで見つけたのが“キャスト”という言葉でしょう。バイトを“キャスト”と呼ぶことで、職場は“ステージ”になり、労働は“演技”に変わったのです。 

スティーブ・ジョブズは、エンジニアたちを“アーティスト”と呼び、でき上がったコンピューターにアーティストとしてのサインを記入させたと言います。

スターバックスは、喫茶店ではなく“第三の場所”であり、アルバイトたちを“パートナー”と呼んでいます。 

例えば、営業の人の肩書を“ビジネス・プロデューサー”と変えてみる。職人さんを“クラフトマン”と呼んでみる。

そこにあなたやあなたの会社の考え方が表現されているのであれば、それは、新しいチカラになり得るかもしれません。 

次に、(2)の「ひっくり返す」は、どうでしょうか。「駅の中の商店街=エキナカ」について、考えてみます。この発想はどこからやってきたのでしょうか。

これは、「“通過する駅”から“集う駅”へ」という考え方で生まれたと言われています。

このときに、「駅構内を盛り上げよう」とか「駅の中を明るくしよう」といったありふれた言葉ではなく、従来の考え方をひっくり返した「“通過する駅”から“集う駅”へ」という言葉を使ったことが、成功要因の一つだと考えられます。

また、ワコールのヒット商品である“胸を小さく見せるブラ”も、「女性は誰でも胸を大きく見せたいと思っている」という常識をひっくり返すことで生まれたヒット作だと言えるでしょう。 

最後に、(3)の「例える」についてです。この技法は、皆さんも普段知らず知らずのうちに使っていると思います。もっとビジネスに活用してみましょう。 

「カーシェアリング」という新しいサービスは、“ATMのように気軽にクルマが使える世の中へ”ということを合言葉に開発されたと言われています。

「お金」と「クルマ」というまったく違う領域だからこそ、ATMのイメージを借りることで、新しい業態が生み出せたのです。  

この技法は、使い勝手に優れています。例えば、新しいお店を開くときなど、「ホテルのようなカフェ」「リゾートのようなカラオケ店」「バーのようなカレー店」「美術館のような本屋」など、さまざまに活用できるでしょう。 

次回からも、「1行の力」について、解説していきたいと思います。 

次回は『コピーライターの技を、日々のビジネスに活かす。「1行の力」について。その3』です。


佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法 


[プロフィール] 
佐藤 達郎(さとう・たつろう) 
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。 


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