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コピーライターの技を、日々のビジネスに活かす。「1行の力」について。その1

16.06.10
ビジネス【マーケティング】
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皆さんは必ずしも、キャッチフレーズを書く立場にはいないと思います。

それでも、企画書を書くにしても、部下に指示を出すにしても、会議で実りある成果を出すためにも、「1行の力」や「一言で言う力」は非常に重要で、身につけば大変に便利です。 

コピーライターの多くは、最初のころにはひとつの仕事で100本ものコピーを考え、上司にダメ出しをされ、次第次第にその技を磨いていきます。そんなコピーライターの技を(僕自身もコピーライター出身ですが)まとめた本も何冊か出ています。 

今回からは、そのコピーライターの技をビジネスに活かすという視点で、それらの書籍も参考にしながら、解説をしていきたいと思います。
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言葉を強くする方法として、川上徹也さんは「1行バカ売れ」という本の中で、(1)常套句を避ける、(2)言葉の組み合わせを考える、の2点を強調しています。 

まず、(1)の「常套句を避ける」という点について考えてみましょう。

常套句とは、飲食店で言うと「こだわりの」「厳選した」「極上の」といった言葉を、そのまま使うことです。企業の経営理念で言うと、「地域密着」「お客様第一」「笑顔」などの言葉を中心に、作り上げることです。 

常套句は、使う方にしてみれば「なんとなくソレらしく」なるし、決して間違ったことを言うわけではないので、ついつい使ってしまいがちです。

しかし、受け取る側からすれば、何の興味もひかれず、何の独自性も感じない、頭や心に入ってこない表現になってしまいます。 

「常套句禁止」を、まずご自身に課してみてください。

「こだわりの」という言葉が頭に浮かんだら、自分たちの「こだわり」とはいったい何なのかを、しばし考えてみてください。

答えは一つではありません。「麺のゆで時間を秒単位で測った」かもしれないし「30年鍛え上げた店主の舌で自ら確かめた」かもしれません。

「厳選した」と言いたくなったら、どう厳選したのかについて考えてみましょう。「100本の中から1本選んでいる」なのか「肉選びの天才が選ぶ」なのか。 

(2)の「言葉の組み合わせを考える」については、どうでしょうか。「近大マグロ」は、近畿大学が養殖法を開発したマグロで、大変人気があります。

これが「○○漁協マグロ」だったら、ここまで広まったでしょうか。「近大」というマグロとは縁のなさそうな言葉がマグロと組み合わさることで、人は興味をひかれ、覚えてくれるわけです。 

最近では、「終活」という言葉が話題を呼んでいます。お年寄りがどんな風に人生の最後を「終える」か、自分の望む終え方を迎えるために活動することです。

この「終活」なども、「終わる」と「活動」という相反するように感じる言葉の組み合わせでインパクトを与えています。 

私自身以前、「特別な普通」というキャッチコピーを考えたことがあります。普段使うスタンダードな商品だけど、ありふれたスタンダード商品ではなく、特別な価値があるという思いを表現しようとしたものです。

このように一見関係のなさそうなもの、反対の意味の言葉を組み合わせてみることも、印象に残る1行へのヒントとなり得ると思います。 

次回は『コピーライターの技を、日々のビジネスに活かす。「1行の力」について。その2』です。


佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法 


[プロフィール] 
佐藤 達郎(さとう・たつろう) 
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。 


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