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広告会社最先端現場の「チーム運営術」からマーケティングプロセスを学ぶ。その3

16.04.14
ビジネス【マーケティング】
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前々回から、僕が広告会社で苦労して培ったチーム運営術を通じて、マーケティングのプロセスを学び取っていただくという記事をお届けしています。

今回は、「曲者部下」とどう向き合うかについてです。
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年齢が近いなどの理由で、実力はあるのだけれど、リーダーであるあなたを認めておらず、何かと反抗的で指示に従わない。

そんな部下を、僕は「曲者部下」と呼んでいます。広告業界・マーケティング業界ではよく見かけるのですが、どんな業界にも存在するのではないでしょうか? 

僕の経験をお話ししていきましょう。CMプランナーのX君は、歳の近い僕がリーダーであることに不満を持っていました。

ある時、他の打ち合わせが長引いて、会議に遅れて参加すると、壁にはすでにいくつかのテレビCM案が貼られていました。

広告会社ではクライアントに提案するテレビCMを決めていくときに、よくそうして壁に貼って検討するのです。 

X君が話しかけてきます。

「佐藤さんは、どの案がいいと思いますか?」

その言い方や表情から、彼がリーダーとしての僕に挑み、試し、隙あらば主導権を奪ってやろうと思っていることは、すぐに分かりました。

「僕はA案とC案とD案がいいと思うんです。他のみんなも賛成してくれています」と、彼は挑戦的に言い放ちました。 

「提案する案を決める」というリーダーがやるべき仕事は、すでに自分がやり終えた。だからあなたは、何もせずにただ「ウン」と言えばいい。

リーダーにふさわしいのは、あなたではなく自分の方だ、と言いたげでした。 

「ここは、勝負どころだな」。僕はそう、感じました。

基本的に争い事は好まないタイプなのですが、こういった場面では、相手の勢いに押されてひるんだり、言い争うことになることを面倒だと感じ、ないがしろな行動をしては、絶対にいけません。 

頭をフル回転させ、気力を振り絞って、リーダーがやるべき仕事を浸食しようとする部下には断固として対応しましょう。

相手が不満そうでも、全部ひっくり返して、ゼロベースで自分が中心になって、もう一度アイディア選定のプロセスを行います。極端に言えば、たとえ最後は同じ案を選ぶことになったとしても、です。

それがリーダーである自分の仕事であれば、みんなの前できちんとやってみせることが重要です。 

X君のケースでも、僕自身の視点で再度精査した結果、C案は採用せず、「A案、D案、E案」で提案することに決めました。もちろん他のメンバーにも納得してもらったうえでのことです。

X君の反抗はこれを機に目立って少なくなり、チームの重要な戦力となってくれました。 

曲者部下は実力のある場合が多いので、その力を認め(本人にも周囲にもそれを表明し)、そのうえで、「決めるのは自分だ」とひるむことなく行動でハッキリと示すことが大事になります。 

さて、次回は、チーム運営術についての最終回になります。 

次回は『広告会社最先端現場の「チーム運営術」からマーケティングプロセスを学ぶ。その4』です。 


佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法 


[プロフィール] 
佐藤 達郎(さとう・たつろう) 
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。 


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