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広告会社最先端現場の「チーム運営術」からマーケティングプロセスを学ぶ。その2

16.03.10
ビジネス【マーケティング】
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前回から、僕が広告会社で苦労して培ったチーム運営術を通じて、マーケティングのプロセスを学び取っていただくという記事をお届けしています。

第一に心掛けるべきこととして「『自分でやった方が早い』は封印せよ」とお伝えしました。

今日は、「常に“ポジティブな姿勢”を意識する」という心構えについて見ていきましょう。
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僕が若いころ、とにかくネガティブな営業部長がいました。あるトラブルが発生したとき、ふだん部下に任せっきりで打ち合わせに出ていなかった営業部長は困り切っていました。打ち合わせの間中、眉間に深く皺を寄せてネガティブオーラを放ちまくりでした。 

「なぜ1週間前にそんな判断をしたんだ?」「そのとき、おかしいと思わなかったのか?」「これを決めたのは誰だ?」と、今さら言っても仕方のないことを繰り返しました。嘆くばかりで、事態収拾のためにどうしたらいいかの指示は、一切ありませんでした。 

その状況において、彼はいるだけ邪魔でした。何とか解決策を見つけなくてはなりません。仮にペナルティーを課せられる事態になっても、最小限にとどめる方策を考え、実行しなければなりません。実際、その営業部長が席を外してからの方が善後策の検討は進みました。 

マーケティングや広告の仕事は、トラブルが付き物です。オンエアが迫っているのにテレビCMの案が決まらない。撮影してきた写真をクライアントが気に入らない。似たようなキャッチフレーズを他社でも使っていることが判明した。それはそれは、苦難の連続です。

5人部下がいれば、トラブルも5倍。多くの場合、リーダーは自分で手を下す立場にいません。そのせいか、リーダーはその重い責任に負けて、ネガティブになりがちです。

しかし、それでは状況は好転しません。リーダーはとにかくポジティブな姿勢をキープすべきで、その方がメンバーのモチベーションが上がり、事態が好転する可能性が高まります。 

では、「ポジティブな姿勢をキープ」するためには、どうしたらいいのでしょうか? 

3つのポイントをお伝えしましょう。 

(1)「悪者探し」はとりあえず置いておく 
(2)“その時点から”の最善策を探す 
(3)現状での「使える点」「有利な点を探す」 

以上の3点です。 

広告会社のクリエイティブチームは、クライアントにダメ出しされることなど日常茶飯事です。5案持っていっても、10案持っていっても、「ピンと来ない」の一言でやり直しです。そんなとき、僕はさまざまな質問をして「ピンと来ない」の中味をあぶり出し、次の提案に向けたヒントを探り出すようにしていました。これが(2)に当たる行動です。 

そして、落ち込む部下を前に、明るく言い放つのです。「次の提案へのヒントだけでもつかまえられて良かったよ!」と。これが(1)です。苦労はいったん忘れて、次へ向かうのです。 

さらに続けます。「よし、もう一度考えよう。考えなければいけないポイントは分かっているんだから、それをやるだけさ!」。これが(3)に当たります。その時点での「使える点」「有利な点」に意識を集中させます。 

全体としては、まず自分が“絶対に何とかなる”と信じ込んで、チーム内にポジティブオーラを放つように心掛けましょう。 

次回は『広告会社最先端現場の「チーム運営術」からマーケティングプロセスを学ぶ。その3』です。


佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法 


[プロフィール] 
佐藤 達郎(さとう・たつろう) 
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。 


[記事提供] 

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