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いま、シティプロモーションが熱い!都道府県 / 市町村の広告・広報の現在。その2

16.02.26
ビジネス【マーケティング】
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前回から、都道府県/市町村の広告・広報・マーケティングを指す「シティプロモーション」についてご紹介しています。

今回は、その中でも「ゆるキャラ」について、くまモン(熊本県)を中心に取り上げていきたいと思います。
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くまモンは、マーケティングや広告表現の視点から見ると、飛び抜けてよくできたキャラクターです。

そのポイントは「象徴化」が高度に行われ、非常にシンプルな作りになっていることです。

「熊本県」というネーミングを活かして、愛嬌のある熊をモチーフとしながらも、印象に残るのは頬の赤い丸であり、この赤は、熊本県の名産であるトマトやスイカ、鯛や車エビなど「くまもとの赤」ブランドを表現しています。 

他のゆるキャラたちの多くは、「象徴化」が上手になされていません。

たとえば、さのまる(栃木県佐野市)。あくまでも広告表現やデザインの視点から見てですが、あまり良いデザインには見えません。さのまるは、頭にはラーメンのどんぶり、前髪はそこからはみ出た麺で、腰には名産のいもフライを2本挿しています。

すべてが具体的であり、くまモンに見られるような「象徴化」はまったく行われていません。よっぽど力のあるクリエイターが行わないと、象徴化自体が難しいことと、決定する側にも相当の知見がないと、OKを出せないという理由があるのだと思います。 

さのまるも大変人気のあるキャラクターのようですから、「象徴化しないからダメ」というわけではありません。しかし、それでも「象徴化されたゆるキャラ」であるくまモンに比べると、その「展開力」は著しく落ちるのではないでしょうか。 

くまモンは、例えば、2013年に「赤いほっぺ紛失事件」を演出し、くまモン本人(ぬいぐるみ)が東京に探しに来るという設定で、多くのテレビ番組に露出し、「くまもとの赤」ブランドのプロモーションに貢献しました。

またツイッターのくまモン公式アカウントは、43万人ものフォロワーを誇っています。くまモンは設定では県の職員で、「熊本県営業部長」の肩書を持っているといいます。

また、僕も参加していたWOMMA(米国クチコミ・マーケティング協会)のWOMMYアワード授賞式にやって来たくまモンは、アメリカ人マーケターたちに大人気。多くの人が握手を求め、そのキャラクターのパワーを見せつけました。

そしてその様子が日本の複数のテレビ番組でも取り上げられ、ここでも熊本県のPRに一役買ったわけです。 

くまモンがこういった「高度な象徴化」を成し得たのは、熊本県出身の人気放送作家・小山薫堂さんがプロデュースし、有名アートディレクター・水野学氏がデザインしたことが大きくかかわっています。

『くまモンの秘密』という書籍を読むと、小山薫堂さんのさまざまなアドバイスを、県知事や県職員の方々が十分に参考にして、このゆるキャラを採用し、見事なマーケティング・コミュニケーションを繰り広げているのが、よく分かります。 

次回は、YouTube等ウェブ上で見てもらうことでシティプロモーションを目指す「オンライン動画の活用」について、お話していきましょう。 

次回の「佐藤達郎のマーケティング論」は『いま、シティプロモーションが熱い!都道府県/市町村の広告・広報の現在。その3』をお届けします。


佐藤達郎のマーケティング論 


[プロフィール] 
佐藤 達郎(さとう・たつろう) 
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。 

[記事提供] 

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