税理士法人ベストフレンド

看取り新時代

15.11.06
業種別【医業】
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9月にNHKスペシャルで放映された「老衰死」。なかなかの反響があったようです。

「老衰」による死亡件数が10年前より急増しており、2014年には厚生労働省「人口動態調査」で史上初めての75,000人に。10年後には死者数が出生数の2倍に達するという予測もあります。今回のNスペは、胃ろうや経管を含む積極的延命治療を行わない「自然死」を柱にしたものでした。
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振り返ると、日本老年医学会による2012年の「立場表明」で、初めて治療の「差し控え」「撤退」という言葉が登場。日本人の終末期のあり方を変える大きなターニングポイントになりました。

・日本老年医学会「立場表明2012」より
「胃瘻造設を含む経管栄養や、気管切開、人工呼吸器装着などの適応は、慎重に検討されるべきである。すなわち、何らかの治療が、患者本人の尊厳を損なったり苦痛を増大させたりする可能性があるときには、治療の差し控えや治療からの撤退も選択肢して考慮する」

実際、現場の先生方の間でも、延命治療に否定的な意見が高まっているようです。エムスリーの調査によれば、医師の6割が「食べられなくなったら、終わり」と考えており、「自身や家族が改善が見込めない状態になったとき、胃ろうの設置を希望する」と答えた医師はわずか8%でした。

筆者はこれを見て、市民の意識とはまだギャップがあると感じました。実際の診療では「できるだけのことをしてやってください」と懇願する患者家族にギャップを感じられている先生方も多いと思います。

市民レベルでは新たな「看取り」の考え方がまだ浸透しているとは言い難く、また、いざ親のこととなると、誰しも客観的な判断が鈍ります。もともと文化的に「死」を「穢(けが)れ」として忌み嫌い、フランクに語る習慣のない日本では、自分の親と終末期について話し合うことがほとんどなく、本人の希望を知らぬままに「その時」が来るからです。

こうした状況のなか、市民的な議論を巻き起こすべく「みんなのMITORI・研究会」(代表・近藤和子氏)が設立され、その第一弾として「『在宅医療』を知っていますか? 家で最期まで療養したい人に」が東京大学構内で開催されます。11月~来年7月までの5回シリーズで、医療職・市民が共に参加でき、単回参加も可能です。

2016年3月26日(土)の第3回には、「平穏死」を提唱された石飛幸三医師の講演もあります。要予約。ご興味のある方はぜひ。

申込み・詳細:『在宅医療』を知っていますか? 家で最期まで療養したい人に


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[プロフィール] 
中保 裕子(なかほ・ゆうこ) 
医療ライターとして全国のがん医療、地域医療の現場を中心に医療者、患者、家族へのインタビューを行うほか、新聞広告等での疾患啓発広告制作、製薬企業等のマーケティング調査の実績も多い。有限会社ウエル・ビー 代表取締役。  
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