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職場での人間トラブルは『軍艦島』の人事労務管理に学ぼう

15.02.18
ビジネス【人的資源】
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長崎市の沖合にある「軍艦島」をご存知でしょうか。
明治から昭和にかけて良質の石炭を産出していた海底炭鉱です。
三菱が開発して島がそのまま生活共同体になりました。
1920年には3,000人余りの人口が、1960年には5,000人を超えましたが、その後急減して1973年に閉山。
その後無人島ですが、貴重な産業遺産となっています。
1916年に完成した日本で初めての鉄筋コンクリート造りの集合住宅が有名です。

ここでは、学校や交番があり、労働者は家族ともども島内で生活をしていました。
そのため会社の人事労務担当は、職場の問題ばかりでなく、夫婦喧嘩の仲裁をはじめとする家族の問題にも立ち入ったものです。

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企業成長のための人的資源熟考

このような労務問題は、人里離れた鉱山や工場ばかりでなく、都会の会社という組織の中でも多かれ少なかれ発生するものです。
企業組織は島のようなもので、情報化が進んでも人々はいわば囲いの中にいます。
プライバシーを大切にする欧米の人事関係とは違うかもしれませんが、働くときの快適性を高めることが企業の生産性を上げることになるでしょう。

呼び名はいろいろでしょうが、よく問題になるのが「いじめ」。
つまりセクシャルハラスメントやパワーハラスメントです。
用語自体が社会的に公認されて、大きな組織では苦情処理委員会などがあります。
喫煙も問題になり、今や禁煙の範囲が拡大しています。

IT関係ではメールの利用や情報管理が大きな問題となっています。
また、エイズや難病のほか、ガンやうつ病の治療で長期間かかる場合の就業についても、対策が求められています。

さらに従業員の個人的なトラブルとして、交通事故、飲酒、金融、法律、介護、子ども、配偶者、健康などの問題について、しかるべき部署が相談に乗るなど、外部の機関を紹介する場合もあるようです。
そして、個人の小さな問題でも、社会的な問題になると法制や社会運動にまで発展します。

働くことの基本的関係は、労働基準法や各社の就業規則に定められています。
が、それをバックにしながらも職場の不満やトラブルは尽きないものです。
これまで日本の企業はこれを内部で解決しようとしましたが、いまは外部に訴えることが増えています。



[プロフィール]
佐野 陽子(さの・ようこ)
慶應義塾大学名誉教授。1972年慶應義塾大学商学部教授。87年から2年間、日本労務学会代表理事。89年から2年間、慶應義塾大学商学部長・大学院商学研究科委員長。96年東京国際大学商学部教授。2001年から4年間、嘉悦大学学長・経営経済学部教授。主な著書:『はじめての人的資源マネジメント』『企業内労働市場』(ともに有斐閣)。

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