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相続税の課税対象? 相続人でない親族が請求できる『特別寄与料』

24.04.02
業種別【不動産業(相続)】
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被相続人の介護や事業の手伝いなどを行うことにより、被相続人の財産増加や維持に貢献した相続人でない親族が、その貢献度合いに応じた金額を相続人に請求できるようになりました。
これを『特別寄与料』といいます。
特別寄与料は2018年の民法改正で新しく設けられ、2019年7月1日以降に開始した相続から適用できる制度です。
この請求が認められる条件や、相続税の課税対象になる場合などについて解説します。
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相続人以外でも請求できる『特別寄与料』とは

民法では、被相続人の財産の維持や増加に関して特別に貢献した相続人に対して、遺産分割で決定した相続分に加え、貢献度に応じ相続分を加える『寄与分』という制度が定められています。
しかし、この寄与分の対象は相続人だけで、相続人でない親族がどんなに被相続人に貢献したとしても、この制度では遺産相続の恩恵を受けることができませんでした。

たとえば、被相続人の子の配偶者(同居している長男の妻など)が、被相続人の介護や看護に尽力していたとしても、民法で定められている相続人に該当しない場合は寄与分の対象外となってしまいます。
高齢化社会が進むなか、昔からの慣習で長男の妻が被相続人の介護をするケースなどが多いものの、相続人でないがために貢献度合いが遺産配分に反映されないという不公平さの問題は以前からありました。

そこで、2018年の民法改正で新たに『特別寄与料』という制度が設けられ、2019年7月1日以降に開始した相続から適用されることになりました。
これにより親族であれば、相続人でなくても介護や看護、事業の手伝いなど被相続人に貢献した度合いに応じて、財産を請求できるようになったのです。

ここで注意しておきたいのは、特別寄与料は被相続人から支払われるものではなく、相続が開始された後で相続人に対して請求し、支払ってもらうものだということです。
そのため特別寄与料の請求のためには、相続人に直接交渉する必要があります。
また、寄与分には時効はありませんが、特別寄与料には消滅時効や除斥期間があり、特別寄与料を請求できる人(以下、「特別寄与者」)が相続の開始および相続人を知った時から6カ月を経過したとき、または相続開始時から1年を経過したときは請求することができなくなります。

特別寄与料を請求できる3つの要件とは

特別寄与者は、以下の3つの要件を満たす必要があります。

(1)被相続人の親族である
特別寄与料を請求できるのは、相続人以外の親族です(相続人には寄与分制度があるため特別寄与者から除外されています)。
ここでいう「親族」とは6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族のことで、このうち、相続人以外の人が特別寄与料を請求できる対象となります。
なお、法的な婚姻関係がない内縁関係は親族として認められません。
血縁関係のない近所の人や訪問介護の人など、実際に介護や看護に協力してくれた人でも親族でなければ、請求することはできないので注意が必要です。
また、相続放棄などによって相続権を失った者も、対象外となります。

(2)被相続人に対して無償で療養看護やその他の労務の提供をした
もし有償で介護を行なっていた場合、すでに寄与料を得ていると判断されるため、特別寄与料の請求権が認められないとされています。
ただし、その対価が世間一般的な相場と比較して極端に低かった場合などは、請求が認められる可能性があります。

(3)被相続人の財産の維持、または増加について特別の寄与をした
この条件も無償で労務を提供していることが前提です。
被相続人の介護や事業の手伝いを無償で行うことで、被相続人の財産から出費を抑える、または財産を増やすことに貢献していると認められるため、請求できるようになります。

特別寄与料が相続税の課税対象になる条件

特別寄与料の請求が認められ支払われた場合、この収入は「被相続人からの遺贈によって取得したもの」とみなされ、相続税の課税対象となります。
そして、特別寄与者は、特別寄与料の額が確定したことを知った日の翌日から10カ月以内に、相続税の申告書を税務署に提出する必要があります。
また、特別寄与者は相続税法第18条により2割加算の対象となります。
なお、特別寄与料を支払った相続人は、支払った金額が債務控除の対象となり、相続した財産から控除することができます。

特別寄与料は比較的新しい制度で、まだ十分に浸透していないうえ、相続人と相続人でない特別寄与者が直接交渉する必要があることなどもあり、特別寄与料をもらうことは簡単ではありません。
しかし、これまで認められていなかった相続人の親族に遺産の請求への道が拓かれたことは、大きな進歩といえるでしょう。
相続人以外で、被相続人に貢献しており特別寄与料を請求できる可能性のある方は、その分野に詳しい専門家に相談してみましょう。


※本記事の記載内容は、2024年4月現在の法令・情報等に基づいています。