税理士法人ベストフレンド

社会保険適用促進支援で年収の壁を意識せずに働ける環境づくりを

24.03.12
ビジネス【助成金】
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有期雇用労働者などが新たに社会保険(健康保険・厚生年金)の加入対象となったとき、労働者の手取り収入を減らさないように「社会保険適用促進手当」の支給などの取り組みを行なった事業主に、労働者一人当たり最大50万円が助成されます。
いわゆる『年収106万の壁』への対応策として、2023年10月20日から開始されたこの『キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)』について説明します。
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社会保険適用時処遇改善コース

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用の労働者に対し、正社員化や処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成するものです。今回の新設コースを含め、現在7つのコースがあります。

2024年10月には社会保険の適用拡大が予定されていますが、労働者のなかには、保険料負担が生じるとその分、手取り収入が減少するため、これを回避する目的で労働時間を調整する人がいます。
短時間労働者への社会保険の適用を促進するため、労働者が社会保険に加入するにあたり、事業主が労働者の保険料負担を軽減するための『社会保険適用促進手当』を支給するほか、所定労働時間を延長させたり基本給等の増額を行なったりといった取り組みを支援するために、この『社会保険適用時処遇改善コース』が新設されました。

支給要件など本助成金の概要は以下の通りです。

【支給対象事業主】
対象となる事業主に求められる代表的な要件は下記の通りです。
●労働者負担分の社会保険料額以上の額を、手当または基本給として新たに支給し、総支給額を15%以上増額させる事業主
●対象労働者の週所定労働時間を4時間以上延長する、または週所定労働時間を1時間以上4時間未満延長するとともに基本給を増額して、新たに社会保険に加入させる事業主   など

【支給対象労働者】
6カ月以上継続雇用されており、2023年10月1日~2026年3月31日の間に新たに社会保険に加入した有期雇用労働者等が対象(同事業所内で過去2年以内に社会保険に加入した場合は対象外)   など

【主な支給要件】
●新たに社会保険に加入した有期雇用労働者等に、各支給対象期間中に継続して雇用し、基本給および定額で支給されている諸手当を減額させずに支給すること
●特定適用事業所もしくは任意特定適用事業所であること
●対象労働者は、社会保険の適用日の前日から起算して過去6カ月間、社会保険の適用要件を満たしていなかった者であって、かつ支給対象事業主の事業所において過去2年以内に社会保険に加入していなかった者であること   など


【支給額】
支給額の設定は『手当等支給』と『労働時間延長』の二つに分かれており、併用させることも可能です。

(1)手当等支給メニュー
事業主が労働者に社会保険を適用させる際に、『社会保険適用促進手当』の支給等により労働者の収入を増加させる場合に助成します。

<1年目>
一人当たり助成額:6カ月ごとに10万円×2回(大企業は7.5万円×2回)
要件:(1)賃金(標準報酬月額・標準賞与額)の15%以上分を労働者に追加支給すること(社会保険適用促進手当など)
<2年目>
一人当たり助成額:6カ月ごとに10万円×2回(大企業は7.5万円×2回)
要件:(2)賃金の15%以上分を労働者に追加支給する(社会保険適用促進手当など)とともに、3年目以降、以下(3)の取り組みが行われること
<3年目>
一人当たり助成額:6カ月で10万円(大企業は7.5万円)
要件:(3)賃金(基本給)の18%以上を増額させていること(労働時間の延長との組み合わせも可能)

(2)労働時間延長メニュー
所定労働時間の延長により社会保険を適用させる場合に事業主に対して助成を行うものです。
以下のいずれかの取り組みを行なった場合に、支給されます。

一人当たり助成額:6カ月で30万円(大企業は22.5万円)
要件:
1 週所定労働時間の延長 4時間以上+賃金の増額 なし
2 週所定労働時間の延長 3時間以上4時間未満+賃金の増額 5%以上
3 週所定労働時間の延長 2時間以上3時間未満+賃金の増額 10%以上
4 週所定労働時間の延長 1時間以上2時間未満+賃金の増額 15%以上

※そのほか、併用メニューもあります。

【受給までの流れ(例)】
(1)事前準備を行う
●対象労働者の働き方の希望を把握し、仕事内容や処遇などについて話し合う面談を実施
●助成金による支援メニューを活用しながら解決策を検討
●併せて社会保険制度の概要や加入のメリットについて、対象労働者に周知
(2)キャリアアップ計画書を作成・提出する
(3)就業規則等を整備する
(4)対象労働者に社会保険を適用する
(5)対象労働者に手当を支給開始、または労働時間延長・賃上げの取り組みを実施する
(6)指定期間の取り組み後、2カ月以内に書類申請を行う

このほかにも細かい支給要件や必要な書類などがあります。詳細は厚生労働省ホームページをご確認ください。

出典:厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/syakaihoken_tekiyou.html


※記載情報は2024年2月29日時点のものです。