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便利に使える『テント』の設営で建築確認が必要になるケース

24.01.02
業種別【建設業】
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作業員の待機所や簡易的な資材置き場に、テントが利用されるケースがあります。
設営が容易で、撤収にも時間がかからないテントは、工事現場などで重宝されています。
しかし、注意したいのは設営する際の建築確認の有無です。
一時的に利用する小さなテントは建築物に該当しませんが、床面積が10㎡を超える場合など、条件によっては建築物とみなされ、建築確認が必要になることがあります。
建築業には欠かせない、建築基準法におけるテントについての基礎知識を説明します。
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建築確認が必要なテント倉庫のメリット

建築基準法で「建築物」として定義されているのは、土地に定着しており、屋根や柱、壁がある工作物です。
建築物として定義されている工作物を建てる際は、自治体や検査機関などが建築確認を行い、建築基準法などの法令や各市町村の条例に適合しているか、当該工事に着手する前にチェックする必要があります。
もし、建築主が建築確認の申請をしなかった場合、その建築物は違法建築物となり、行政からの指導を受ける可能性があります。

逆に、建築物でなければ、建築確認の申請をする必要はありません。
テントは膜で覆われた「膜構造」で、原則として土地に定着しており、屋根や柱、壁もあるので、規模によっては建築物に含まれます。
しかし、キャンプ用や運動会用のテント、祭りの屋台など、一時的な利用に限られる簡易的なテントは建築物として扱われず、建築確認も不要とされています。
たとえば、運動会で使うようなテントを工事現場で作業員の待機所として使用する場合などは、建築確認はいりません。
しかし、同じテントでも、床面積が10㎡を超える場合や、準防火地域または防火地域に指定されている地域で設営する場合などは、建築確認が必要になります。

また、建築資材を常態的に置く倉庫として使用する「テント倉庫」も、建築主は建築確認の申請をしなければいけません。

テント倉庫とは、用途を倉庫に限定した膜構造の建築物で、「1階の平屋建てであること」「延べ面積が1,000㎡以下であること」「軒の高さが5メートル以下であること」など、『国土交通省告示第667号』で示された基準を満たしたものになります。

テント倉庫は骨組みにテントシートを張るだけの単純な構造なので、工期が短く、コストも抑えられます。
そのため、建築業界では建築資材や大型の機械などの一時的な保管場所として活用されています。
条件や構造にもよりますが、500㎡の倉庫を建てる場合のコストと工期は、プレハブの場合は約3,000万円~で工期は約3カ月、テントの場合は約2,000万円~で工期は約1.5カ月です。
レンタルやリースなどであれば、さらにコストを抑えることができます。

また、建物自体が膜構造で軽いため、地盤が軟弱な場合でも杭工事を行わなくて済み、解体や増設、改修などが簡単にできるのも大きなメリットです。

さまざまな用途に使用できる膜構造の建築物

テント倉庫は、通常の建築物よりも耐久性は高くありませんが、レンタルやリースであれば、シートの張り替えや交換なども不要です。
ただし、テント倉庫は構造上、保温性が高いため熱がこもりやすく、熱の影響を受けやすい精密機械や、紫外線などで劣化してしまう建築資材の保管には向いていません。
また、可燃性の資材を保管する場合も注意が必要です。
テント倉庫は、火災の広がりを抑制する防炎生地もしくは不燃生地の使用が義務付けられています。
建てる地域によって、防炎認定生地と不燃認定生地を使い分ける必要があるため、注意しましょう。
ほかにも、通常の建造物よりも侵入しやすいので、盗難のリスクがあります。
防犯カメラの設置や、侵入しづらい構造にするなどの防犯対策が必須です。

さらに、使用用途にも注意が必要です。
テント倉庫として建築確認申請をすると倉庫にしか使用できず、作業員の休憩所や作業場として使用することはできません。

もし、倉庫以外の用途にテントを使う場合は、「膜構造の建築物」として建築確認申請を行う必要があります。
膜構造の建築物とは、『国土交通省告示第666号』の「構造方法に関する安全上必要な技術的基準」に適合した建築物です。
テント倉庫よりも安全基準が厳しいですが、基準を満たしていれば、延べ面積が1,000㎡以下で、軒の高さが5メートル以下というテント倉庫よりも大きなテントを建てることができます。
また、倉庫以外の用途にも使えるため、作業員の休憩所や作業場のほか、スポーツ練習場やイベント用の施設などにも利用することが可能です。

このように、レジャーで使用するような簡易的なテントは建築確認が不要ですが、一定の大きさのテントは必要になる可能性があります。
工事現場などで大きめのテントを建てる際、そのテントは建築確認が必要なものかをあらかじめ調べておきましょう。


※本記事の記載内容は、2024年1月現在の法令・情報等に基づいています。