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腰痛や眼精疲労など、歯科医師の『職業病』と予防&対策

24.01.02
業種別【歯科医業】
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『職業病』とは、業務上の作業や職場環境が原因で起きる疾病や障害のことを指し、歯科医師にも、さまざまな職業病といえる症状があります。
患者の口腔内を覗き込みながら、集中して精密な作業を行わなければいけない歯科医師は、眼精疲労や腰痛、腱鞘炎などを患う人が多いといわれています。
このように体に不調が出ている状態では、診療を順調にこなしていくのは困難です。
歯科医師の抱えている職業病について、予防策と対策を紹介します。
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水平位診療が主流でも腰痛はなくならない

長期間、患者に合わせて無理な体勢で診療をした結果、腰痛を患ってしまう歯科医師は少なくありません。
かつての歯科診療は、患者が椅子に座り、歯科医師が立って診療を行う『立位診療』が主流でした。
しかし、診察台や診療環境の変化などから、40年前くらいから患者を仰向けに寝かせ、歯科医師が座って診察を行う『水平位診療』が主流になりました。
現在では歯科大学や大学の歯学部などでも、水平位診療で診療を行うように推奨しています。

腰を痛めやすい立位診療に比べると、水平位診療のほうが背筋を伸ばして診療できるため、腰への負担は減ります。
しかし、それでも多くの歯科医師は腰痛を患っています。
歯科医療従事者の腰痛に関する調査では、一般人の腰痛の割合が10%以下だったのに対し、歯科医師は60~70%が腰痛持ちだったことがわかっています。

水平位診療であっても常に正しい姿勢やポジショニングで診療を行うのはむずかしく、患者の口腔内を覗き込もうと顔を近づけるため、無理な体勢を取ることになってしまいます。
診療時間が長くなれば、それだけ無理な体勢が続くことになり、必然的に腰に大きな負担がかかります。
できるだけ腰に負担をかけないためには、基本的な姿勢を意識しながら、患者ごとに診療台やヘッドレスト(安頭台)、自身の座る位置などを微調整し、治療しやすいポジションをキープしましょう。
デンタルミラーなどを使い、口腔内を覗き込まずに治療できるように工夫することも大切です。

また、診療の合間に、椅子に座ったまま姿勢を伸ばしたり、ストレッチをしたりすることで、筋肉の凝り固まりをほぐして、血流をよくすることができます。
腰痛は歯科医師だけではなく、歯科衛生士など、歯科医療従事者にとっては定番の職業病です。
朝礼の時間にスタッフみんなで軽い体操やストレッチを行うなどして、クリニック全体で腰痛などの職業病を防ぐ対策を行うこともおすすめです。
それでも、腰痛になってしまった場合は放置せず、悪化する前に整形外科などを受診し、適切な治療を受けましょう。

ミスを誘発する危険性もある眼精疲労

口腔内の治療は精密な作業が要求されるため、歯科医師は常に患部を注視しながら、集中して診療を行います。
また、ヘッドルーペやマイクロスコープを用いて患部の細かな部分を診ることもありますし、ホワイトニングやコンポジットレジン充填などで、強い光を目にすることもあります。
さらに、電子カルテの普及によって、診療の時間以外にもパソコンのモニターと向き合うことが増えました。

このように長時間に渡って目を酷使し続けると、目のかすみや充血などを伴う眼精疲労を引き起こすことになります。
眼精疲労が悪化すると頭痛や肩こりといった症状が現れ、そのまま放置し続けると、場合によっては休息や睡眠を取っても回復しないことがあります。
眼精疲労によって集中力が欠けると、思わぬミスが起きてしまう可能性もあるため、歯科医師はできるだけ目の疲れを取り除いたほうがよいでしょう。

目の疲れを溜めないようにする最も効果的な方法は、適度な休憩です。
眼精疲労は、ピントを調整するために必要な目の中の『毛様体筋』という筋肉を使いすぎて、緊張状態に陥ることで引き起こされます。
目の疲れを感じたら、この毛様体筋を休ませることが重要です。
長時間の作業を行う場合は、1時間のうち10分程度は休憩を入れるようにしましょう。

また、蒸しタオルやホットアイマスクなどで目を温めたり、マッサージや目薬などで刺激を与えたりすることも効果的です。
それでも疲労感がひどく、対処療法で改善しない場合は、眼科で診てもらうことをおすすめします。

腰痛や眼精疲労のほかにも、歯科医師を筆頭とした歯科医療従事者は、手先の細かい作業が必要になるため、肩こりや腱鞘炎などに悩まされている人が多いといえます。
歯科医療従事者の職業病といわれる各症状をひどく感じる場合には、悪化する前に各専門医を頼るようにしましょう。


※本記事の記載内容は、2024年1月現在の法令・情報等に基づいています。