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懲役刑もあり得る!? ネットの誹謗中傷が厳罰化

22.06.28
ビジネス【法律豆知識】
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侮辱罪を厳罰化する刑法改正案が成立しました。
侮辱罪は、公然と人を侮辱した行為に適用される犯罪のことで、現在は30日未満の拘留または1万円未満の科料が課せられます。
しかし、インターネット上の誹謗中傷で命を絶つ例も相次いだことから、誹謗中傷に歯止めをかけることを狙いとした改正案が提出されました。
今回は、侮辱罪となる侮辱行為に該当する言動について解説します。
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どのようなケースで侮辱罪が適用されるのか

侮辱罪厳罰化の議論がかわされるようになったのは、テレビ番組に出演していた女性が、SNSでの誹謗中傷を苦に自殺した2020年の事件がきっかけでした。
女性を中傷した2名の加害者は検挙され、侮辱罪の容疑で書類送検されましたが、科料の9,000円が軽すぎると批判を集めました。
ちなみに科料は罰金よりも軽く、金額は1,000円以上1万円未満と決められています。

侮辱罪は、刑法第231条において『事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する』と定められています。

“事実を摘示しなくても”ということは、事実・事実ではないことのどちらであるかは関係なく、人を侮辱する行為そのものに侮辱罪が問われる、ということを意味します。
さらに、“公然”とは、不特定または多数の人が認識できる状態をいい、その侮辱が広まる可能性ある場所で人を侮辱した場合、罪に問われることも明らかです。
インターネット上はまさに公然の場所であり、今回の厳罰化もネット上の誹謗中傷を問題視しているといえるでしょう。

たとえば、ブログで「頭が悪い○○に育てられる子供がかわいそう」などと投稿し、『公然と事実を摘示せずに侮辱している』と認められて、侮辱罪が適用されたことがありました。
ほかにも、配信動画で相手を「ブタ」とののしったり、SNSで「スタッフの愚痴をよそでいいまくる社長」と投稿した人物が、侮辱罪で摘発されています。
メールやLINEなどは、基本的に送られた本人の目にしか触れないため、“公然と”とはならず、侮辱罪は成立しません。
メールであればCCやBCCに他人が入っている状態、LINEであればグループLINEでほかの人もやり取りを見られる状態で侮辱を行ってしまうと、『公然と』の要件を満たすため、侮辱罪となります。


ネット上で侮辱されたときの対応策

では、ネット上のブログやSNSで、人から侮辱を受けた場合は、どうしたらよいのでしょうか。そのようなときは慌てずに、適切な対応を行う必要があります。
ちょっとしたことで大騒ぎをしたらかえって恥ずかしい、と思うこともあるかもしれません。しかし、誹謗中傷を放置してしまうと、さらなる中傷につながり、自分自身のブログやSNSがいわゆる炎上状態になってしまうことも起こり得ます。

そうならないためにも、まずはサイトの管理者か、またはサイトの運営会社やサーバ管理会社に投稿の削除依頼を請求するのが賢明です。

ただし、書き込みができるサイトは個人が運営しているものから大手企業が管理しているものまでさまざまです。
ガイドラインに沿って素早い対応を行ってくれるところもあれば、反応が遅い管理者もいます。
対応してもらえない場合は、裁判所を通じて投稿の削除を求めて仮処分を申し立てることもできるので、弁護士への相談も視野に入れておきましょう

また、個人の意見の範囲に留まらず、あきらかな誹謗中傷である投稿や記事については、警察に相談し、刑事事件化してもらうことも可能です。
侮辱罪は親告罪といって、被害者が告訴しないと起訴することができません。
告訴がないと警察も動けないため、侮辱罪に該当するかどうか判断できない場合でも、まずは警察に相談することをおすすめします。

もし意図せず他人を侮辱してしまった場合は、速やかに投稿を削除し、相手から訴えられた場合には、弁護士に相談しましょう
もちろん、他人を侮辱するような行為をしないことが一番ですが、深く考えずに投稿した記事や書き込みが、第三者から思わぬ反応を引き出してしまうこともあり得ます。

発信する側としては冗談のつもりで書いたことでも、侮辱罪が成立する可能性はあります。
気軽に書き込めてしまうネット上の発言には細心の注意が必要です。


※本記事の記載内容は、2022年6月現在の法令・情報等に基づいています。