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歯科界で浸透しつつある『ミニマルインターベーション』とは

22.01.05
業種別【歯科医業】
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従来の虫歯治療は、虫歯が広がるのを防ぐため、菌が侵食していない周囲の歯質も削る方法が一般的でした。
虫歯が深い場合には神経を取り、歯を削ってからパラジウム合金(銀歯)をはめ込むため、何度も通院する必要があり、患者の負担も少なくありません。
しかし、近年では、『ミニマルインターベンション(Minimal Intervention)』と呼ばれる、必要最小限の処置が世界の潮流になりつつあります。
どのような治療法なのか、メリット・デメリットを含めて解説します。
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歯質削除を最小限に押さえるメリット

歯質を削り、歯の大部分を失う従来の虫歯治療では、歯そのものが脆くなり、将来的に寿命を縮めることが分かっています。
そんななか、日本でも『ミニマルインターベンション(M.I.)』を導入するクリニックが増えています。
ミニマルインターベンションは、2002年にウィーンで行われたFDI(国際歯科連盟)の総会で提唱された概念で、“治療介入を最小限にすること”が治療の意義とされています。
虫歯の治療において、歯を削る範囲を最小限に抑え、虫歯部分のみを削って修復する治療法です。

そもそもオーラルケアの後進国といわれている日本では、諸外国と比べても、歯の喪失本数が多いという現実があります。
とはいえ、80歳までに20本の歯を残すための『8020(はちまるにいまる)運動』はよく知られており、高齢者における1人あたりの平均歯数は年々増加傾向にあります。
しかし、80代の残存歯数を調べてみると、予防先進国のスウェーデンが平均21本(2015 Swedish Dental Journal)なのに対し、厚生労働省が2016年に発表した『平成28年歯科疾患実態調査』では、日本は15.3本(80~84歳の平均現在歯数)にとどまっています。

大幅に歯質を削る従来の虫歯治療では、将来的に虫歯を繰り返し、歯が残らない可能性もありました。
一方で、治療器具や素材接着の進歩により、なるべく歯を削らない、神経を残す治療が可能となり、歯科界のトレンドも変化しています。
できるだけ歯質を削らず、神経を取らない治療であれば、天然歯を長く、良い状態で残していくことに向いているのです。
負担を小さく抑えることができるため、患者の希望を尊重しながら、導入を考えてみてはいかがでしょうか。


デメリットと導入の必要性

一方で、ミニマルインターベンションにもデメリットがあります。
患者には治療方法のメリット、デメリットを両方説明し、従来のやり方か、ミニマルインターベンションか、いずれかを選択してもらいましょう。
歯科医師側のデメリットとしては、治療回数増加の可能性があることがあげられます。
ミニマルインターベンションでは、虫歯を最小限削るので、自ら接着していくコンポジットレジンが合うようです。
コンポジットレジンは、これまで耐久性への誤解や接着剤の接着力の問題などから、虫歯治療には使用しないという歯科医師も少なくありませんでした。
しかし近年では普及が進み、強度や接着性能の向上などから、ミニマルインターベンションには欠かせない素材になりつつあります。
ただ、収縮率の問題から何度も塗り固める必要があります。
医療保険の診療報酬は決して高くはないため、経営の側面からみると、1人の患者の虫歯治療に時間をかけ過ぎるのも避けたいところです。
実際に導入を考える際は、活用までの時間的デメリットも加味して検討しましょう。

ミニマルインターベンションの提言には、最小限の歯質削除だけではなく、患者の歯の自然治癒力を向上させる『再石灰化の促進』や、感染予防、患者教育、糖質摂取削減など、虫歯になりにくい口腔状態を維持するための提言も含まれています。
様々な観点から将来の歯の健康をサポートできる『ミニマルインターベンション』を取り入れ、今後の集患にもつなげていきましょう。


※本記事の記載内容は、2022年1月現在の法令・情報等に基づいています。