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増えつつある近隣トラブルの予防法と対処法

21.08.24
ビジネス【法律豆知識】
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コロナ禍によって自宅で過ごす時間が増えたことにより、近隣トラブルも増加傾向にあるようです。
騒音や悪臭、境界線など、さまざまな問題が考えられますが、ささいなことが原因でトラブルに発展することが多いため、日頃から注意しておかないといけません。
もし、近隣トラブルが起きてしまったら、自治会・町内会や市役所の生活課に相談するなどのほかに、こじれてしまった場合に備えて調停や訴訟での解決も視野に入れておきましょう。
今回は、近隣トラブルの予防法と対処法について解説します。
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コロナ禍により騒音に対する苦情が増加

コロナ禍で在宅時間が増えたことにより、近隣トラブルが増えており、なかでも特に増えたのが騒音問題だと聞きます。

テレビや音響機器の音、子供のはしゃぐ声、楽器を演奏する音や工事音など、騒音の原因はさまざまです。
特にテレワークなど自宅で仕事をする場合は、作業に集中したいため、近隣の音が気になってしまうものです。
一方で、騒音は人によって感じ方が異なるため、客観的な判断が難しく、被害者が訴えても騒音だとは認められないこともあります。

ケースごとに判断されるものではありますが、過去の判例では、騒音の発生する時間帯や騒音による被害者側の精神的な被害の度合いなどが、騒音であるかどうかを認める基準になりました。
また、デシベルなどの音の数値はもっとも客観的な基準になります。

もし騒音問題で悩まされているのであれば、騒音レベルが何デシベルかを測る騒音計やサウンドレベルメーターなどが安いものでは2,000円くらいで売られているので、購入して測定してみるとよいでしょう。

騒音の大きさの目安としては、図書館内でのささやき声が40デシベルで、日中の普通の会話が60デシベルだといわれています。
パチンコ店の店内や救急車のサイレンが80デシベルであることを考えると、だいたい60~70デシベルを超えたあたりから、人は「うるさい」と感じるようです。
自治体によっては、騒音の基準を明確に数値で設けているところもあるので、ホームページなどを確認してみましょう。


隣人トラブルを解決するには

また、ゴミの出し方やペットの排泄物などによる悪臭問題も隣人トラブルの一つです。

特に近隣に飲食店などがある場合は、トラブルに発展しやすく、工場など事業活動にともなう悪臭が発生する地域では、悪臭防止法や各地の条例で規制が定められていることもあります。
悪臭も人によって感じ方は異なるため、臭気測定器などで数値として記録しておくとよいでしょう。

これらの隣人トラブルが起きないようにするには、日頃から隣人に対して丁寧な対応を心がけ、交流を図っておくことです。
普段から挨拶を交わして顔見知りになっておけば、お互いに気になることがあれば、気軽に声をかけて注意喚起を行うことができます。

それでも、トラブルになってしまった場合は、できるだけ当事者同士の話し合いは避けましょう
当事者同士だとどうしても感情的になってしまい、関係が悪化してしまうことも少なくありません。
マンションの場合は管理会社や貸主、戸建ての場合は自治会・町内会や市役所の生活課に相談して、間に中立の立場で双方の話を聞ける人を挟むことをおすすめします。

それでも解決しないのであれば、場合によっては調停や訴訟という選択肢を考える必要も出てくるでしょう。
裁判所の調停では当事者同士の間に調停委員が入り、双方の意見を聞きながら、利害調整がなされることが期待できます。

調停委員が間に入っての話し合いでも解決しない場合は、民事訴訟で裁判を起こすことになります。
その際に、騒音計や臭気測定器などで測っていた騒音や悪臭の数値が客観的な証拠となります。

ただ、民事訴訟は時間もコストもかかりますし、今後も近所に住んでいるもの同士という関係が続くのであれば、できるだけ避けたいものです。
民事訴訟に発展してしまう前に、弁護士や警察に相談してアドバイスをあおぐのも一つの手といえるでしょう。

さらに戸建てでは、境界線問題が起きる可能性もあります。
土地の境界線があいまいなために、隣人とトラブルに発展するケースは多く、土地の売却やリフォームなどの際に揉めることがあるようです。
その場合は、不動産会社に連絡し、専門業者に正しい境界線を確定してもらいましょう
費用はかかりますが、塀の位置が異なるのであれば作り直したり、境界線からはみ出ている部分を交渉したうえで買い取ったりするなどの方法で、解決することができます。

近隣トラブルは日頃の付き合い方次第で予防はできますが、問題を抱えたまま暮らしていくのも困難です。
とはいえ、民事訴訟などで強引に白黒つけるのも、今後の近隣住民との付き合い方に支障をきたす可能性があります。
できるだけトラブルに発展しないよう温和な問題解決を心がけ、地域の人々にとっての快適な住環境を目指しましょう。


※本記事の記載内容は、2021年8月現在の法令・情報等に基づいています。