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再確認しよう! 相続人の範囲と相続の順位、民法上のルール

21.01.05
業種別【不動産業(相続)】
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ある人が亡くなった場合、その亡くなった人(被相続人)の遺産は、その人以外の人に相続されます。
民法は、相続人である『法定相続人』の範囲に含まれている人に相続権を与え、遺産を取得させることを原則としています。
それでも、遺産の相続は金銭的な利害関係も絡むことから、相続人間で対立が生じることが多くあります。
そこで今回は、相続人の範囲や順位に関し、民法に定められているルールについて確認していきましょう。
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財産は誰に分配される? 法定相続人の範囲

まず、相続人の範囲や順位について解説します。
法定相続人となることができるのは、以下の人たちです。

●被相続人の配偶者
被相続人の配偶者はどのような場合でも法定相続人となります。
ただし、あくまでも法律上の配偶者が法定相続人になるので、被相続人と法的に婚姻関係がある必要があります。
したがって、婚姻届を提出していない内縁の妻は法定相続人ではありません。

●被相続人の子ども、孫、ひ孫(直系卑属)
被相続人の子どもには、被相続人の養子や、被相続人と内縁の妻との間の子どもも含まれます。
なお、孫は被相続人の子どもが亡くなっている場合に相続人になり、ひ孫は被相続人の子どもと孫が両方とも亡くなっている場合に法定相続人になります。
このような相続権を継ぐ相続を、代襲相続といいます。

●被相続人の親(直系尊属)や兄弟
親が亡くなっている場合は、祖父母が法定相続人となることが可能です。
親も祖父母も亡くなっている場合は、曾祖父母も法定相続人になりえます。

なお、被相続人は、遺言書を作成することによって法定相続人以外の人に対しても遺産を渡すことが可能です。
その場合、法定相続人の範囲にほとんど意味はなくなってしまいますが、法定相続人には遺留分という取り分が与えられることになります。

配偶者以外の法定相続人については、相続人になることができる順番があり、相続順位が高い人が法定相続人になります。
つまり、順位が高い相続人がいる場合、低い順位の人は法定相続人になれません。
相続順位は、子ども(孫、ひ孫等も含む)、親、兄弟姉妹の順です。
たとえば、配偶者と子どもと親がいる場合、配偶者と子どもが法定相続人となり、親は相続人にはならないのです。


法定相続人の順位と相続における取り分
 
次に、相続における取り分のルールについて解説します。
法定相続人が被相続人の遺産をどのくらい相続するのかについては、民法で定められています。
この遺産取得分のことを、『法定相続分』といいます。

法定相続分は配偶者の法定相続分が一番多く、つねに2分の1以上は取得できるようになっています
法定相続人が配偶者のみの場合、配偶者の法定相続分は遺産の全てです。
子ども・孫などの直系卑属がいる場合は配偶者と直系卑属が法定相続人になり、配偶者の法定相続分は遺産の2分の1となります。
そして、子どもが複数いる場合の子どもらの取り分は、子どもが3人いるなら1人につき残りの遺産の3分の1といったように、人数で均等に分割されます。

また、法定相続人が配偶者と親・祖父母などの直系尊属の場合は、配偶者の法定相続分は遺産の3分の2となります。
法定相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合は、配偶者の法定相続分は遺産の4分の3です。
いずれの場合も、この残りが親や兄弟姉妹の取り分となり、親や兄弟姉妹が複数いる場合は、人数で均等に分割されるというわけです。

法定相続人の相続分については、民法においてさまざまなことが定められています。
実際には、被相続人が特定の法定相続人に相続開始前に財産の一部を与えていたような場合(特別受益)や、法定相続人の一部の人が、被相続人のお世話をしていたような場合(寄与分)も多くあります。
そういった際には、法定相続分の割合が修正されることが民法で定められているため、それを発端として争いが生じることがよくあります。

いざ相続が発生してから慌てないためにも、法定相続人の範囲や順位、法定相続分などを確認し、相続財産がどのように分けられるのかを理解しておきましょう。


※本記事の記載内容は、2021年1月現在の法令・情報等に基づいています。