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事業主の義務! 『マタニティハラスメント』を防止するには?

20.02.10
ビジネス【企業法務】
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『マタニティハラスメント』は妊娠・出産・育児休業等を理由とした嫌がらせ等を指し、『マタハラ』という略語とともに広く知られるようになりました。
では、実際に何がマタハラに該当するのでしょうか。
防止するためにはどのような施策を打てばよいのでしょうか。 
今回は、マタニティハラスメントの基礎知識とともに、ハラスメント対策の基本をご紹介します。
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マタハラの実態、具体的な内容とは?

独立行政法人労働政策研究・研修機構が、民営企業およびそこで働く25~44 歳の女性労働者を対象に行った『妊娠等を理由とする不利益取扱い及びセクシュアルハラスメントに関する実態調査』(2016年結果公表)によると、働いていた企業で妊娠・出産・未就学児の育児を経験した従業員のうち、妊娠等を理由とする不利益取扱い等の経験率は21.4%
ハラスメントは上司からだけではなく同僚からも、また、男性からだけではなく女性からも行われていることがわかりました。

経験した不利益取扱いの内容で一番多いものは、「休むなんて迷惑」「辞めたら?」といった『妊娠・出産・育児関連の権利を主張しづらくする発言』(47.0%)で、『妊娠等を理由とする不利益取扱い等を示唆するような発言をされた』(21.1%)、『賞与等における不利益な算定』(18.4%)、『雇い止め』(18.0%)などが、それに続く結果となっています。


不利益な取扱いは法律で禁止されている

妊娠・出産・育児休業等を理由とした事業主による不利益な取扱いは、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法において禁止されています。
不利益な取扱いとは、解雇、雇止め、降格、減給、不利益な配置変更、人事考課での不利益な評価等をいいます。

妊娠・出産・育児休業等を理由にしなくても、これらを『契機として』不利益取扱いを行った場合は、原則として『理由』としていると解され、違法となります。
また、これらの事由の終了から1年以内の不利益な取扱いについては、これらを『契機』としていると判断されますので注意が必要です。

不利益な取扱いとして違法と判断されると、企業には、まず、行政指導が行われます。
それでも是正されない場合は、最終的には企業名が公表されます。
公表により、妊娠・出産する女性が働きづらい職場であるとの印象がつくことは、企業にとって大きな損害です。


マタハラが起こりやすい職場とその対策

マタニティハラスメントが起こりやすい職場としては、以下のような職場があげられます。

(1)“男性は仕事、女性は家庭”という固定的性別役割分担意識が強い職場
職場の上司や同僚がこのような価値観を持っていると、意図せずともマタニティハラスメントの原因となることがあります。

(2)長時間労働が前提の働き方をしている職場
このような職場では、働き方や労働時間に制約がある人に対し、雰囲気や対応が悪くなりがちです。

では、マタニティハラスメントを予防するには、どのようなことをすればよいのでしょうか。
男女雇用機会均等法および育児・介護休業法では、職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについて、事業主に防止措置を講じることが義務付けられています。
労働者個人の問題ではなく会社の雇用管理上の問題と捉え、適切な対応をとらなくてはなりません。

最善の対策は予防です。
マタニティハラスメントの多くは、妊娠・出産に関わる法律知識や、妊娠・出産に関わる母体への健康管理の知識の欠如が原因となり起こるといわれています。
そこで、職場において定期的に研修を行うことで、正しい法律知識やハラスメントに対する認識を高めることが大切になります。
また、従業員の不満のもとになりがちな長時間労働を是正することも必要となるでしょう。

職場の意識を変え、妊娠・育児をしながら働く人だけではなく、介護や病気の治療との両立をしている人など、誰もが働きやすい職場風土の醸成を目指しましょう。
ワークライフバランスの取り組みを実施するためにも、ハラスメントに対する意識向上は欠かせません。


※本記事の記載内容は、2020年2月現在の法令・情報等に基づいています。