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パワハラ防止法案が成立! 事業主に求められることとは?

19.10.30
ビジネス【企業法務】
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労働施策総合推進法の改正案、通称『パワハラ防止法』が、2019年5月に成立しました。 
日本で初めて、パワーハラスメント(以下、パワハラ)について規定し、職場で防止するための措置を講じる義務を事業主に課した法律です。 
そこで今回は、このパワハラ防止法によって生じる事業主の義務と責務などについてご説明します。
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パワハラの行動類型と法的な定義とは?

パワハラについては、2012年に厚生労働省が次の6つの行為類型を発表しています(パワハラをこれだけに限定する趣旨ではありません)。

・身体的な攻撃(暴行、傷害)
・精神的な攻撃(侮辱、執拗な叱責)
・人間関係からの切り離し(隔離、仲間外れ、無視)
・過大な要求(不要なこと、遂行不可能なことの強要)
・過小な要求(能力や職務とかけ離れた程度の低い仕事を命じる、仕事を与えない)
・個の侵害(私的なことに過度に立ち入る)

今回の法改正では、初めてパワハラが法律で定義されました。
『職場において行われる』『優越的な関係を背景とした言動』であって『業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの』とされています。
すでに蓄積されている裁判例とともに解釈すると、ある程度明確性があるといえます。


法律上の事業主の義務と責務とは?

事業主には、パワハラに対し、
(1)当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備すること
(2)そのほかの雇用管理上必要な措置をとること
が義務づけられました。
(1)の体制整備は必須となり、(2)については今後規則などの整備により明らかになります。
パワハラを受けた労働者が相談したり、相談対応に協力したりした労働者に対して、事業主は、それを理由に解雇そのほか不利益処分をしてはならないといういわば当然の内容も定められています。
事業主の責務として、パワハラに対する労働者の関心と理解を深めるとともに、労働者がほかの労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、パワハラに関する研修の実施やそのほか必要な配慮をすることについての努力義務も定められています。
また、企業の社長や役員に対しては、パワハラに対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に注意することも努力義務とされています。

今回定められた規定の多くは理念的な内容であり、パワハラについて、行為を禁止するのではなく防止措置義務を設けたにとどまります。
しかし、これらの規定に反する対応をした企業には、行政機関が指導・勧告を行うことが可能になります。
厚生労働省は、年内にパワハラに関する新指針を作成するとしています。
事業主には、指針などを参考に、パワハラ防止に向けた具体的取り組みを行うことが求められています。


※本記事の記載内容は、2019年10月現在の法令・情報等に基づいています。