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従業員にストライキを起こされた際に会社が行うことは?

19.10.30
ビジネス【労働法】
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2019年8月、東北道・佐野サービスエリアで従業員による大規模なストライキが行われ、フードコートや売店が利用できなくなり、大きな話題となりました。 
そもそもストライキとは、労働者が一斉に業務を休止するなどして、会社の事業を阻害し、要求を通そうとする争議行為のことです。 
近年はストライキが行われることもだいぶ少なくなってきましたが、佐野サービスエリアのように、突発的にストライキが行われる可能性がないともいえません。 
経営者として、従業員のストライキに対してどのように対応すればいいのかを知っておきましょう。
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ストライキによる損害賠償の請求はできない
 
ニュースでも大々的に取り上げられた佐野サービスエリアのストライキは『経営状況が悪かった運営会社の総務部長が、社長に対して経営改善を訴えたところ、解雇されてしまい、日頃から経営陣に不満を持っていた従業員が奮起した』という流れでストライキに発展しました。

経営者として、そもそもストライキが起こらない、従業員の不満が出ない会社づくりを目指さなければいけないというのは大前提です。
しかし、それでもストライキが起きてしまった際の対処法をチェックしていきましょう。

そもそもストライキは労働にはつきものであるといっても過言ではありません。
古代エジプト王朝の時代からストライキはあり、日本においても昔から労働者の権利として認められています。

日本国憲法においては、労働者の持つ労働三権の一つで、団結権と団体交渉権に続く、団体行動権と呼ばれ、交渉の最終手段として位置づけられています。

また、正当な理由のストライキに関しては、刑事責任や民事責任は免責されることになっており、従業員がストライキで業務を滞らせて会社に損失を与えたとしても、会社側は損害賠償請求をすることはできません。
さらに、従業員がストライキのために座り込みを行ったとしても、これを排除することは禁止されています。

もちろん正当性のないストライキに対しては、断固として抗戦することができます。
たとえば事業所が破壊・汚染されたり、暴力が介在したりするストライキなどは正当性が認められません。
また、ストライキの目的が本来とは異なるものであったときも、正当とはいえません。
正当性のないストライキの場合、会社はストライキに参加した従業員に対し、告発や損害賠償請求、懲戒処分などを行うことができます。

一方で、正当性があるにもかかわらず、ストライキに参加した従業員を懲戒処分としたり、会社内で不利益な処遇にしたりといった行為を行った場合は、会社側が『不当労働行為』として、各自治体の労働委員会から『救済命令』を受けてしまいます。
この命令が確定し、さらに違反すると罰せられますので、注意しましょう。


団体交渉で問題の解決を模索する

では、ストライキにはどのように対処していけばいいのでしょうか。
基本的にストライキは労働組合が行うもので、手順としては組合員による無記名投票を行い、過半数の賛成を得た場合に行うことができると労働組合法第5条で定められています。

会社としては、従業員がストライキに入る前に、労働組合との団体交渉を行う必要があります。
その交渉の場で、従業員の要望を聞き、労働問題の解決に向けて前向きな姿勢を見せることが大切です。
会社と従業員は本来、対立するべきものではなく、お互いに力を合わせていくべきもの。
どちらか、もしくは両方が譲歩し、ストライキにならないような交渉を行うことを心がけなければいけません。

また、たとえストライキが起こってしまっても、それに対処するには、やはり話し合いしかありません。
労働組合はストライキに入ると、闘争委員会を設立し、ストライキに関する指令や資金の調達、計画立案などを行います。
この闘争委員会が交渉の窓口になることもあり、会社側はまずはそのストライキに正当性があるかどうかをチェックし、正当性があるのであれば、委員会と交渉を続けましょう。

近年は、ストライキ自体が問題解決につながらないことも多く、実際にストライキを起こす労働組合は減ってきています。
しかし、今回の佐野サービスエリアの事例のように、ストライキが起こる可能性はゼロではありません。

もしストライキが発生してしまったら、できるだけ早期に解決を図ることが大切です。
また、ストライキ後に会社と従業員との間に、遺恨が残らないようにする配慮も必要になってきます。
大きな損害が出ないように、根気よく委員会と話し合い、問題の解決を模索しましょう。


※本記事の記載内容は、2019年10月現在の法令・情報等に基づいています。