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東京オリンピックへの寄付金の法人における税制上の扱いは?

19.09.10
ビジネス【税務・会計】
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いよいよ東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京オリンピック)の開催まで1年を切りました。
大会を運営する東京オリンピックの競技大会組織委員会では大会を成功に導くため、法人・個人を問わず、寄付金を募っています。
大会を成功させるためには欠かせない寄付金ですが、実は、寄付することで、税制上の優遇措置を受けられるというメリットがあります。
今回は、法人としての寄付金にまつわる税金の取り扱いについてご紹介します。
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寄付金には四つの種類がある

東京オリンピックへの寄付金は、『指定寄付金』とされています。
そのため、法人が寄付を行った場合はその寄付金の全額を損金として計上できるようになっています。

そもそも寄付金には四つの区分があり、すべての寄付金が全額を損金として計上できるわけではありません。
次に『指定寄付金』も含めた四つの寄付金について、ご紹介します。

(1)『指定寄付金』
公益を目的とする事業を行う法人等に対する寄付金のことで、公益の増進に寄与し、さらに緊急を要する事業に充てられるものとして財務大臣が指定して告示したものをいいます。
つまり、今回の東京オリンピックのような国家規模のプロジェクトのほか、国宝の修復、私立学校や国立大学法人の教育研究、さらに有名なところでは赤い羽根募金なども、この『指定寄付金』に該当します。

(2)『国・地方公共団体に対する寄付金』
国や都道府県、市区町村などの自治体に対する寄付金で、たとえば、公立高校や公立図書館の建設や管理・運営などに使われます。
また、震災が起きた際に、国や地方自治体に寄付した義援金なども、この『国・地方公共団体に対する寄付金』に当てはまります。

(3)『特定公益増進法人に対する寄付金』
教育や科学の振興、文化の向上や社会貢献、その他公益の増進に著しく寄与する特定の法人に対する寄付金を指します。
『特定公益増進法人』とは、身近なところでいえば、学校法人や福祉施設などを運営する社会福祉法人があげられます。
このほかには、日本赤十字社をはじめ、独立行政法人や公益財団法人、公益社団法人、更生保護法人なども『特定公益増進法人』です。

(4)『一般寄付金』
上記の(1)から(3)に該当しない寄付金のことです。
たとえば、お寺や神社などの宗教法人や政治団体、町内会などへの寄付も、この『一般寄付金』に該当します。

損金として計上できる限度額とは?

(1)から(4)の寄付金の区分のうち、どの区分に当てはまるかによって、損金として計上できる限度額が異なります。

この四つの区分のなかで、寄付した全額を損金として計上できるのは、『指定寄付金』と『国・地方公共団体に対する寄付金』の二つです。
それ以外の『特定公益増進法人に対する寄付金』と『一般寄付金』に関しては、損金算入の限度額が設けられているため、寄付金のすべてを損金として計上することはできません。

『特定公益増進法人に対する寄付金』と『一般寄付金』に関しては、次の計算式で限度額を求めることができます。
『特定公益増進法人に対する寄付金』は『(期末資本金等の額の 0.375%+所得金額の 6.25%)×1/2』で、『一般寄付金』は『(期末資本金等の額の0.25%+所得金額の2.5%)×1/4』という式です。

寄付金を損金として計上する際に注意しておきたいのは、会社側が寄付だと思って相手や団体に金銭を譲渡したとしても、寄付にならないケースもあることです。
寄付とは、基本的に対価として支出するものではないため、寄付金の支出は消費税の計算上、課税仕入れとはなりません。
しかし、たとえ名目が寄付だとしても、その寄付に物品やサービスの提供等が伴えば、課税仕入れとなる場合もあるのです。

たとえば、寄付を行ったつもりが、結果として自社名が大々的に出て会社のPRになってしまった場合は、寄付金ではなく広告宣伝費として扱われます。
また、会社のある町内会の行事のために金銭を寄付した場合は、接待交際費に区分されます。

寄付は募る側の組織にとっては、さまざまな活動や団体を維持していくために必要不可欠なものです。
また、寄付をする法人にとっては、税制上の優遇措置を受けられるというメリットがあります。
東京オリンピックの開催を機会に、社会貢献にもなり、損金として計上できる寄付について、考えてみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2019年9月現在の法令・情報等に基づいています。