税理士法人ベストフレンド

ドクターズブランドと医師の役割

14.08.10
業種別【医業】
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前回は「ドクターズブランドとは何か」を紹介しました。
今回は、最近の傾向として気になる点と、
医師がかかわる場合の留意点を述べてみたいと思います。

ドクターズブランドの実態が拡大するにつれ、
医師のかかわり方もまた多様化しているようです。
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選ばれるクリニックへのナビゲーション

監修や具体的アドバイスを行う、
患者さんに治験ならぬモニターを
していただくなどの協力をするケースもあれば、
極端な話「監修」という名の名義貸しに近いケースも
あるのではないでしょうか(推測ですが)。

しかし、いずれにしても、必ずしも医師の思惑通りには
ならないということは踏まえておいた方がよさそうです。

例えば、冒頭に述べたように
「ドクターズブランドを出せば知名度が上がる」
というのは誤解。

基本的に、マスコミは黙っていてもやってくるというものではありません。
記者に取材に来てもらえるか、記事が実際に掲載されるかどうかは、
メーカーの広報担当者やPRスタッフ等の地道な働きかけの成果です。

必ずしも全てのメーカーがPRに積極的なわけではありませんし、
マスコミへのアピール力が欠けている場合もそうはいきません。

一方、「積極的に開発にかかわろう!」と張り切っていても、
医師がつくりたい化粧品が「売れる化粧品」とは限りません。
そのため、利潤を追求するメーカーとの間に行き違いを来すこともあります。

「あくまでも“こだわりの少量生産”」を貫くなら、メーカーに生産を依頼せず、
自前で法人を立ち上げて製造販売を行わざるを得なくなります。

ところで、最近のドクターズコスメには、いわゆる“幹細胞コスメ”などと
謳われる効果の強い新成分が使われるようになりました。

メーカーとしては、他社よりいち早く流行の成分を使いたい。
ユーザーも「医療用のような」(→ありがちな誤解)効果の強い化粧品を期待します。

しかし、こうした期待の新成分は、安全性は確認されていても、長期的な使用経験がありません
(昨年のカネボウの美白化粧品の問題はそこに盲点があったと言えます)。

それを「ドクターズブランド」として販売することは、リスクをカモフラージュし、
安心の免罪符になってしまう危険性をはらんでいます。

そして、「ドクターズ」と銘打つからには、
医師にも社会的責任が生じるのではないかと懸念してしまいます。

ドクターズブランドとしての安全性を担保するには、
きちんとプロトコルを作成し、科学的エビデンスと言えるに足るデータを持つことに
医師の専門性を発揮していただくことが望ましいと考えます。

次回の選ばれるクリニックへのナビゲーションは、
『「電子版お薬手帳」時代のクリニック』をお届けします。


[プロフィール]
中保 裕子(なかほ・ゆうこ)
医療ライターとして全国のがん医療、地域医療の現場を中心に医療者、患者、家族へのインタビューを行うほか、新聞広告等での疾患啓発広告制作、製薬企業等のマーケティング調査の実績も多い。有限会社ウエル・ビー 代表取締役。 
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