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皆と同じだから買うのか? 違うから買うのか?「バンドワゴン効果」と「スノッブ効果」を考えよう

17.02.24
ビジネス【マーケティング】
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マーケティング論でよく語られるキーワードの一つに、「バンドワゴン効果」と「スノッブ効果」というものがあります。 

この2つの効果は、正反対の現象を指し示しています。
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■多勢の行動に従う「バンドワゴン効果」 
「バンドワゴン」とは、行列の先頭を行く楽隊車のことを指し、“バンドワゴンに乗る”とは、「時流に乗る」とか、「多勢の行動に従う」ことを意味します。
そこから「バンドワゴン効果」とは、流行っているものを買いたくなる心理と理解できます。
“みんなが使っているから自分も買おう”というわけです。 

知らない街でお店を選ぶときに“賑わっているお店を選んでおく”というのは、誰でもよくある行動です。
お店に入ってからも、「いちばん人気のあるメニューはどれですか?」と尋ねて、「じゃ、それください」とオーダーするケースも少なくありません。 

あるいは、コメディアンの書いた小説がベストセラーになっていると聞けば買ってみたり、『君の名は。』が大ヒット中と言われれば、“自分も観てみるか”ということになります。 

お店などでも、“いま売れてます!”と書いておくと商品が売れたり、Webサイトなどで“大人気商品”と記載した商品が売れたりするのは、この「バンドワゴン効果」によります。 

■特別なものを買いたくなる「スノッブ効果」 
それに対して「スノッブ効果」は、“人と同じはイヤ。みんなが使ってない特別なものを買いたくなる”という心理です。
“スノッブ”とは一般に“俗物”と訳され、地位や財産を追いかけて上品ぶる人々のことを意味します。 

そこから転じて、「スノッブ効果」では、手に入れるのが難しいものや、一般の人が持っていないものを手に入れたがる心理を指すようになっています。 

お店で言えば、雑誌で目にした“人に教えたくない店”に行きたくなったり、“限定○○食”と銘打たれたメニューに魅かれる心理が、これに当たります。
あるいは、誰も着ていないようなファッションを探し出して手に入れたり、皆が知らないような商品に愛着を感じる“こだわり派”の人々の行動を表していると言えるでしょう。 

■ウィンドウズを買うことはある集団では「スノッブ効果」? 
さらに、この2つの効果が集団ごとに逆転することも考えられます。例えば、ビジネス界ではアップル・コンピューターよりもウィンドウズのほうが一般的だと思います。その中で考えれば、ウィンドウズを使うのが「バンドワゴン効果」であり、アップルを使うのは“こだりを持つ”人の「スノッブ効果」ということになります。 

しかし、デザイン業界や美大生のなかで考えると、アップル・コンピューターが一般的です。美大生でアップルを買うのは「バンドワゴン効果」であり、あえてウィンドウズを買うのは何らかのこだわりがある「スノッブ効果」と考えることができます。 

■「人気商品」と訴えるか? 「限定商品」と訴えるか? 
皆さんのお店やビジネスのターゲットは、果たして、どちらの顧客でしょうか? あるいは、いま売りたいと思っている商品やサービスは、どちらの顧客を相手にした方が売れそうでしょうか? 

「バンドワゴン効果」が見込まれるのであれば“人気商品”と訴えるべきですし、「スノッブ効果」を狙うのであれば“こだわり”や“限定”を前面に押し出すべきでしょう。ご自身のビジネスに関して、こんなことを考えてみてはいかがでしょうか? 


次回は、ネットワーク論の用語である「弱い結びつきの強さ」について、ご紹介していきましょう。 


佐藤達郎のマーケティング論


●プロフィール● 
佐藤達郎 さとうたつろう 
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。