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相続で土地を分ける「分筆」とは? 手続き・費用・注意点の基本

26.09.01
業種別【不動産業(相続)】
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「相続した土地を複数の相続人で分けたい」「土地の一部だけを売りたい」といったときに必要になるのが「分筆」です。
分筆は、登記簿上ひとつの土地を複数に分けて登記し直す手続きで、適切に活用すれば遺産分割や資産運用をスムーズに進めることができます。
一方で、分け方を誤ると土地の価値が下がったり、税負担が増えたりするリスクも潜んでいます。
今回は、分筆とはどのような手続きなのか、どのようなときに行うのかを整理したうえで、メリット・デメリットと、実際の手続き・必要書類・費用・期間の基本を解説します。

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分筆とは? どのようなときに行う?

分筆とは、登記簿上ひとつの土地(1筆)を、複数の独立した土地に分けて登記し直す手続きのことです。
たとえば「○○町2丁目15番」という1筆の土地を「15番1」と「15番2」という枝番が付された2筆の土地に分割し、それぞれが独立した土地として法的にも扱われるようにする手続きのことです。

似た言葉に「分割」や「合筆」があります。
「分割」という言葉は単に土地を分ける概念を指すのに対し、不動産登記法上の正式な手続きが「分筆」であり、反対に複数の地続きの土地を1筆にまとめる登記手続きが「合筆」です。
分筆の最大の特徴は、分筆後の各土地がそれぞれ単独の所有権の対象となる点にあります。

分筆は、主に次のような場面で行われます。
相続で複数の相続人が土地を分けて取得するとき、土地の一部だけを売却・譲渡したいとき、土地の一部だけを担保にしたいとき、あるいは土地の一部を利用目的に応じて区画を整理したいとき(一部を駐車場にする場合など)です。

分筆にはメリットがあります。
相続の際に分筆を行えば、相続人ごとに単独名義で土地を取得でき、将来の権利対立や、共有名義の場合の意見対立による処分凍結などのトラブルを根本的に回避することができます。
また、売却や有効活用が容易になるほか、不整形地補正や無道路地評価などの適用によって、相続税評価額を大幅に下げられる場合もあります。

一方で、デメリットにも注意が必要です。
分け方によっては不整形な土地となり、かえって売却しにくくなったり評価が下がったりすることがあります。
さらに、建築基準法が定める「接道義務」や、自治体が条例で定めることがある「最低敷地面積」を満たさなくなると、建物の再建築が不可能な「再建築不可物件」となってしまうおそれがあります。
また、住宅用地に対する固定資産税の特例の適用範囲が変わり、固定資産税が増える場合があります。

特に、単に「相続人の人数で均等に分ければよい」と考えて分筆すると、接道の仕方や日当たり、形状などによって資産価値に差が出てしまうことがあります。
どの部分を誰が取得するかによって、将来の使いやすさや売りやすさが大きく変わるため、利害関係の調整と事前のシミュレーションが不可欠です。
分筆するかどうかについては、メリットとデメリットの両面を踏まえて判断しましょう。

分筆登記の手続き・必要書類・費用と期間

実際に分筆を行うときの流れを見ていきましょう。
分筆には精密な測量と境界確定が必要となるため、表題登記の専門職である土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。
土地家屋調査士が法務局や役所で資料を精査し、現地測量を実施します。
その後、接道する道路管理者である自治体や、隣接する土地の所有者の立ち会いのもと境界を確認し、境界標の設置作業などを進めます。
隣接土地所有者などが署名する境界確認書などの資料は、測量や境界確認の過程で作成されることになります。

その後、分筆案を作成して境界標を設置し、分筆登記を申請するという流れです。
申請には登記申請書や地積測量図などが必要です。
土地家屋調査士に申請を委任する場合は、委任状も必要となります。

費用については、土地家屋調査士への報酬や測量にかかる費用などが発生します。
金額は、土地の広さや形状、隣接地の数、既存の境界確定の事実の有無などによって大きく変わります。
依頼する専門家によっても異なるため、あらかじめ見積もりを取って確認しておくとよいでしょう。
なお、法律で定められている登録免許税は、分筆後の筆数に応じて1筆当たり1,000円です。

期間は土地の状況などによって異なりますが、境界確定測量などに時間を要する場合は、完了まで数カ月~半年以上かかることもあります。
相続の手続きには期限が定められているものもあるため、早めに動くことが大切です。
なお、分筆できても、分筆後の土地の利用に制限が生じる場合があります。
建築基準法や、自治体の条例で定められた最低敷地面積を下回ると、建物の建築許可がおりません。
さらに都市計画法上の開発許可制度の対象となる分筆や、農地法上の制約を受ける農地や市街化調整区域内の土地では、あらかじめ行政手続きを経由しなければ、分筆後の土地利用目的を果たせない結果となる場合があります。
分筆に着手する前の段階で、建築行政や都市計画の観点から分筆後の土地利用に問題がないかを、確認しておくことが不可欠です。

分筆は、測量技術や不動産登記法、建築基準法などの複合的な専門知識を要する高度な手続きです。
特に相続に伴う分筆は、遺産分割協議の内容や相続税評価にも直結します。
土地家屋調査士をはじめ税理士や司法書士などの各種専門家と連携しながら、戦略的かつ慎重に進めるようにしましょう。


※本記事の記載内容は、2026年9月現在の法令・情報等に基づいています。