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遺産分割の円滑化と相続税負担の軽減に有効な不動産の資産組み換え

26.08.04
業種別【不動産業(相続)】
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不動産は財産価値が高い一方、現預金と異なり分割が困難であり、相続税評価額が下がりにくいという課題を抱えがちです。
そこで注目されるのが「資産組み換え」です。
所有不動産を売却し、相続税評価額を抑えやすい資産や、分割しやすい資産へ買い換えることで、相続税負担の軽減や納税資金の確保、遺産分割の円滑化が期待できます。
今回は、資産組み換えのメリットや、特定の事業用資産の買換え特例・特定の居住用財産の買換え特例といった税制上の特例措置、実務上の注意点について解説します。

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資産組み換えが相続対策として有効な理由

不動産を保有する方にとって、相続対策は避けて通れないテーマです。
しかし、不動産はそのままでは相続税評価額が高くなりやすく、複数の相続人間で公平に分割することが困難であるという課題を抱えています。
こうした不動産特有の課題を解消する手段として注目されているのが「資産組み換え」です。

資産組み換えとは、所有している不動産を売却し、より相続対策に適した不動産や金融資産に買い換えることを指します。
「収益性が低い」「評価額が高い」「分割しにくい」といった課題を持つ不動産を見直す際に有効な手法であり、主に三つのメリットがあります。

一つ目は、相続税負担の軽減効果です。
評価額の高い更地などをそのまま保有するよりも、貸家建付地などの評価減が適用される収益物件などへ組み換えることで、相続財産全体の評価額を圧縮できる可能性があります。
ただし、評価額は物件の種類や立地、利用状況などにより異なります。

二つ目は、遺産分割の円滑化です。
一つの不動産を複数の相続人で共有することは権利関係を複雑にし、トラブルの要因となりがちです。
複数の区分所有建物や、複数の収益物件といった分割しやすい資産に組み換えておくことで、遺産分割協議をスムーズに進めることが期待できます。

三つ目は、納税資金の確保です。
相続税は原則として現金による一括納付が求められますが、流動性の低い土地は即座に換金できません。
あらかじめ売却して換金性の高い資産に組み換えておくことで、納税資金を事前に準備しておくことが可能となります。

ただし、注意点もあります。
不動産を売却して譲渡益が生じた場合には、譲渡所得に対する所得税および住民税が課税されるため、税負担を抑えるには特例の活用が不可欠です。
また、組み換え後の資産構成が最適かどうかは、個別の事情によって異なるため、専門家の助言を得ながら慎重に検討することが肝要です。

活用できる税制特例と実務上のポイント

不動産の組み換えを行う際は、譲渡益に対する税負担を軽減できる各種特例を活用することがポイントとなります。

一つ目は、「特定の事業用資産の買換え特例(租税特別措置法に基づく制度)」です。
所有期間が10年を超える事業用資産(一定の要件を満たすもの)を売却し、同じく一定の要件を満たす事業用資産に買い換えた場合、譲渡益の一部について課税を将来に繰り延べることができます。
繰り延べ割合は最大80%(買換資産の要件や地域などにより異なります)ですが、令和8年度税制改正により適用期限が延長され、2029年(令和11年)3月31日までの譲渡が対象となりました。
主な要件として、譲渡資産および買換資産がいずれも国内の土地・建物・構築物であること、譲渡資産の所有期間が10年超であること、買換資産が土地などであるときは、その面積が、譲渡資産の面積の5倍以内であることなどがあげられます。
なお、本特例は課税の「免除」ではなく「繰り延べ」である点に注意が必要です。
将来、買換資産を売却する際には、繰り延べられた譲渡益も含めて課税されます。

二つ目は、「特定の居住用財産の買換えの特例」です。
マイホームを買い換える際、一定の要件を満たせば、譲渡益に対する課税を将来へ繰り延べることができます。
こちらも令和8年度税制改正による延長を受け、2027年(令和9年)12月31日までの譲渡が対象とされています。
適用要件として、売却する不動産の所有期間が譲渡した年の1月1日において10年を超え、かつ、居住期間が10年以上であることなどが定められています。
なお、本特例は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」や「軽減税率の特例」とは併用できません。
どの特例を選択すべきかについてはケースによって異なるため、事前に綿密なシミュレーションが求められます。

このように、不動産の資産組み換えは、相続税対策を多角的に進めるうえで非常に有効な選択肢の一つです。
一方で、特例の適用要件は複雑かつ厳格に定められています。
実行にあたっては、最新の税制を踏まえ、早めに専門家へ相談し、計画的に進めていくことをおすすめします。


※本記事の記載内容は、2026年8月現在の法令・情報等に基づいています。