税理士法人ベストフレンド

新たな地域医療構想を推進する『医療機関機能報告制度』とは

26.06.02
業種別【医業】
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日本の医療提供体制において、これまで進められてきた「地域医療構想」をさらに一歩進め、2040年という超高齢社会のピークを見据えた新たな仕組みが動き出しました。
その中心となるのが、2025年に閣議決定された改正医療法に盛り込まれた「医療機関機能報告制度」です。
この制度は、各医療機関が病床の種類を報告するだけでなく、自院が地域でどのような「役割(機能)」を担い、将来に向けてどうありたいかを明確にする仕組みです。
自院の立ち位置を再定義し、地域のなかでの生き残り戦略を練るための重要な指針となる「医療機関機能報告制度」について解説します。

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新制度の目的と報告の義務化

法改正によって新たに創設された「医療機関機能報告制度」が目指すのは、現役世代が減って、医療ニーズが複雑化する2040年頃を見据えた「持続可能な医療提供体制の再構築」です。

これまでの「病床機能報告」は、病床単位での区分が中心でしたが、新制度では「医療機関全体としてどのような機能を果たすか」に主眼が置かれます。
2028年度までに、一般の病院と有床診療所は「2040年に向けて自院が担うべき機能」を決定し、都道府県へ報告することが義務づけられています。

具体的なスケジュールとしては、2026年度から新たな形式での報告が始まります。
ここでは「現在担っている機能」と「2040年に向けて担う意向がある機能」の双方を、診療実績という客観的なデータと共に報告することになります。
一つの機能に絞る必要はなく、複数の機能を組み合わせて報告することも可能です。
そして、2028年度以降は、最終的に決定した機能に基づいた報告へと移行していく流れです。

制度の根底にあるのは、医療機関ごとの役割分担をより鮮明にしようという考え方です。
これからの地域医療は、高度な手術や救急対応を行う「治す医療」と、退院後の生活や在宅復帰をサポートする「治し支える医療」の二つの軸を、地域の実情に合わせて最適に組み合わせていく必要があります。

そのため、報告されたデータは「地域医療構想調整会議」での協議材料となり、医療機関同士の連携や再編、集約化を促すためのエビデンスとして活用されます。
さらに、この情報は国民や患者にも共有されるため、患者側が「自分の地域でどの病院がどのような役割を果たしているのか」を正しく理解する一助となります。

4つの医療機関機能と大学病院の役割

新制度では、医療機関が担う機能を大きく4つに分類しています。
まず、「高齢者救急・地域急性期機能」では、高齢者をはじめとした救急搬送患者を積極的に受け入れ、入院早期からリハビリや退院調整などを行います。
専門病院と連携しながら、早期の在宅復帰につなげる「地域のハブ」としての役割が期待されています。

「在宅医療等連携機能」は、地域での在宅医療を牽引する役割を担います。
ほかの医療機関や介護施設、訪問看護ステーションなどと24時間体制で連携し、急変時の入院対応もカバーします。
地域住民が安心して住み慣れた場所で過ごすための、セーフティネットとしての機能といえます。

そして、高度な医療資源を集中させるのが「急性期拠点機能」です。
手術や救急医療など、多くの専門スタッフや設備を要する症例を集約し、医療の質と医師の働き方改革を両立させることを目的としています。
この機能は、人口規模の大きな地域では人口20万~30万人に対して1カ所程度、人口の少ない地域は1カ所を目安として確保される方針で、診療実績だけでなく、経営状況や建物の老朽化なども考慮したうえで、地域に何カ所必要かが議論されます。

そして、「専門等機能」は、上記の3つに当てはまらない、集中的なリハビリテーションや中長期の療養、あるいは特定の診療科に特化した専門医療などが含まれます。
地域の多様なニーズをこぼさず拾い上げるための重要な要素となります。

また、一般の病院が地域に根ざした報告を行う一方で、大学病院本院には「医育及び広域診療機能」という特別な役割が求められます。
診療実績の報告に留まらず、医師の派遣を通じた地域医療のバックアップや、次世代を担う医療従事者の育成、そして非常に高度で広域的な対応が必要な診療を総合的に担うことが求められます。

これまで、各医療機関においては地域内での役割が重複したり、逆に必要な機能が欠落したりといった課題がありました。
しかし、「医療機関機能報告制度」の導入により、明確な根拠に基づいて、各医療機関の機能が可視化されることになります。
これは「自院が地域でどうあるべきか」を問われるプロセスでもありますが、同時に、適切な再編や連携を進めるチャンスでもあります。
2040年に向けて、自院の強みをどう活かすのか、その戦略的な決断が求められています。


※本記事の記載内容は、2026年6月現在の法令・情報等に基づいています。