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若者にリーチする『AE消費』を狙った商品やサービスとは?

24.12.10
ビジネス【マーケティング】
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情報技術の発展と共にさまざまなものがデジタル化された現代社会で、デジタルネイティブである若者世代の強い関心を引いているのがアナログの商品やサービスです。
アナログ回帰の昨今のトレンドに関する若者の消費活動は「AE(アナログ・エモーショナル)消費」とも呼ばれ、今後も長らく支持されていくとみられています。
ミドル・シニア世代には当たり前だったアナログ文化は、若者からはむしろ新鮮に映り、新しい体験として、受け入れられています。
AE消費の現状について理解を深めながら、若者のアナログ的な商品やサービスのとらえ方を考えていきましょう。

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若者中心のアナログ回帰ブームが到来

最盛期には約1,812億円もの生産金額を誇っていた日本のアナログレコード市場は、1984年のCDの登場と共に衰退の一途をたどります。
しかし、2010年には過去最低の約1億7,000万円にまで落ち込んだものの、翌年の2011年からは約3億3,600万円に盛り返し、2012年には約6億7,300円と、徐々に回復の兆しを見せ、2023年にはついに60億円を突破しました。

アナログレコードは、ストリーミングやサブスクリプションによる音楽配信が当たり前の時代に、セットする作業や柔らかい音質、インテリアとしても飾れるジャケットのデザイン性などが若者世代を引きつけ、かつては40代以上が中心だったレコードコーナーも近年は10~20代の若者でにぎわっています。
同様にカセットテープでも若者人気が高まっており、2024年4月には新型のラジカセが発売され、カセットやレコードで新譜をリリースするアーティストも増えています。

カメラの世界でもアナログへの回帰が進んでおり、2024年7月にはリコーイメージング株式会社が「ペンタックス」ブランドから21年ぶりにフィルムカメラの新商品を発売しました。
また、1980年代にヒットした富士フイルム株式会社のレンズ付きフィルム「写ルンです」や、1998年に発売されたインスタントカメラ「チェキ」なども今の若者世代に人気です。
枚数に限りがあり、現像に出さなければならない「写ルンです」は、カメラ付き携帯電話の普及によって一時、市場が縮小しました。
しかし、2017年頃から若者世代の注目を集めはじめ、枚数制限の緊張感や現像しなければ確認できないワクワク感が楽しいと評判になり、今や旅行やイベントなどでは若者の定番のアイテムとなりました。
一時期は低迷していた「チェキ」もスマートフォンが台頭してきた2007年頃から売上が回復しはじめ、撮り直せない仕様が逆に魅力となり、2021年度からは3期連続で過去最高の売上を記録しています。

ほかにも、「プリクラ」などに代表されるプリントシール機や、ピンボールなどのアナログなゲーム機が若者世代の注目を集めており、アプリではなくアナログの手帳でスケジュールを管理するムーブメントも起きています。

アナログの商品・サービス企画時の注意点

昔ながらのアナログな商品やサービスに関する消費は、「アナログ(analog)」と「エモーショナル(emotional)」を掛け合わせて「AE消費」と呼ばれます。
これまではマイナス要素とされていた「手間や時間がかかる」といった要素は、若者世代にとって新鮮な要素となり、デジタルの世界にはない不確定な部分や柔らかな表現などと共に受け入れられました。

ただし、若者世代はアナログであれば、どのような商品やサービスでも受け入れるわけではありません。
アナログへの回帰は、自身にとって「未知」のものに触れたい、手にしたいという若者の「体験」への憧れや欲求が背景にあります。
アナログへの回帰やレトロブームの表面をなぞるだけの企画は成功しません。
若者は失敗しないために、入念な調査を行なったうえで商品やサービスを購入します。
少しでも納得できないものには手を出さないため、企業側にも相応の「本気度」が求められるでしょう。

また、若者世代はデジタル機器には「効率」や「利便性」を、アナログ商品には「情緒」を求めます。
ここでいう情緒とは「温かみ」「エモい」「感動」「特別」「貴重」「人との触れ合い」といった利用者の内面で湧きあがる心理的な意識のことを指します。
若者世代は必ずしも「不便が好き」というわけではなく、自身の情緒が生まれる過程において、手間をかけること自体に楽しめる要素を見出している状態といえます。
つまりアナログ文化の不便を不便だと感じず、当たり前のこととして受け止めているということです。

今後、AE消費を軸にした商品やサービスを企画するのであれば、若者世代の社員をプロジェクトに加えるなどして消費者理解を深めていきながら、情緒が生まれる仕組みを優先して考えていくことが重要です。


※本記事の記載内容は、2024年12月現在の法令・情報等に基づいています。