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ひとごとではない!? 相続財産トラブルで「地面師」に狙われる?

24.12.03
業種別【不動産業(相続)】
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地面師をテーマにネット配信されているドラマが話題になっています。
同作は、架空の不動産売買を通して巨額の金をだまし取る詐欺師「地面師」の暗躍を描いた作品で、この作品を通じて「地面師詐欺」の存在を初めて知った方も多いでしょう。
しかし「地面師詐欺」は戦後間もない頃から存在しており、近年も被害が報告されています。
今回は、地面師詐欺とその特徴、そして被害を避けるための方法について解説します。

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土地の所有者を装う「地面師」に要注意!

「地面師」とは、土地の所有者を装って不動産の売却を持ちかけ、買い主から代金をだまし取る詐欺師のことを指し、「地面師」による詐欺行為を「地面師詐欺」といいます。
売主は真実の所有者ではないため、当然、買主は多額の代金を支払ったにもかかわらず、その不動産の所有権を取得することができません。
なかなか信じがたい詐欺行為ですが、「地面師」の手口は巧妙で、「標的となる土地を徹底的に調査する」「身分証を偽造する」「グループで組織的に動く」などの特徴があり、大手企業の被害例も報告されるなど、誰もが被害に遭う可能性があります。

ドラマをきっかけに一躍話題になった「地面師」ですが、そのモデルになったのが2017年に発生した「積水ハウス地面師詐欺事件」です。
JR五反田駅近くの土地をめぐって大手住宅メーカーの積水ハウスが地面師グループにだまされた事件で、誰もが知る大手企業が被害者となったこと、また約55億円という被害額の大きさもあり、報道された当時は大きな話題となりました。
後に主犯格とされるメンバーを含む複数名が逮捕されましたが、被害額は戻っていないようです。

また、積水ハウスの事件の4年前の2013年には、「APAホテル」で知られるアパグループの関連会社が、東京・赤坂の土地売買をめぐって約12億6,000万円をだまし取られた事件がありました。
このときは、地面師が本人確認書類を偽造して、亡くなっていた所有者の相続人になりすましたとされており、登記申請後にそのことが発覚し、犯行が明るみに出ました。
この事件については売主に対する損害賠償請求が認められたものの、実際に返金されたかどうかは明らかにされていません。

誰もが被害者に? 被害を避けるには

「地面師詐欺」のターゲットになる不動産には特徴があるといわれています。
たとえば、所有者が実際に住んでいなかったり、誰が所有者なのかわかりにくかったりする不動産(空き地、駐車場、アパート、ビルなど)、所有者が高齢の不動産などです。

これらは、「本当の所有者のことを近隣住民が知らないため本人確認がむずかしい」「所有者がすでに亡くなっていたり介護施設に入居していたりするため、表に出てくる可能性が低い」などの理由で、地面師が所有者になりすましやすいため、ターゲットになりやすい傾向があります。
とりわけ、相続登記が未了のまま放置されている不動産は、要注意です。
権利関係が不明瞭かつ複雑なため、地面師に悪用されるリスクが高まります。
いずれの場合も、該当する不動産は、それぞれの理由により管理が行き届いていない可能性が高く、そうした点から地面師に目を付けられやすくなるといえます。

では、自身の所有している不動産が地面師詐欺に巻き込まれないようにするためには、どのような手立てがあるのでしょうか。
上記で言及したとおり、地面師は「所有者になりすましやすい不動産」をターゲットにする傾向があります。
逆に言えば、いつでも「本人確認」ができる状況を作っておけば、地面師が所有者になりすますことはむずかしく、地面師詐欺に巻き込まれる可能性は低くなります。

具体的には、以下のような対策が考えられます。

(1)相続トラブルにならないように、権利関係を整理しておく
相続トラブルが起きている物件は、権利関係が不明瞭かつ複雑になっており、誰が所有者なのかが一見してわかりにくい状況になりがちです。
そういった状況だと地面師に狙われやすい傾向があるため、相続時にトラブルにならないよう事前に権利関係を整理しておきましょう。

(2)管理されていない不動産がないかどうかを把握しておく
自身が状況を把握していない不動産は、他人が所有者になりすますことが容易になりやすい状況だといえます。
特に仕事の都合で遠方に住んでいて、対象不動産の近くにほとんどいない場合などは、地面師の格好のターゲットとなり得ます。
常日頃から、所有する不動産の状況を把握しておきましょう。

(3)権利証や実印などを盗まれたり、だまし取られたりしないように管理しておく
多くの場合、地面師は本人確認書類などを偽造しており、そこを端緒に詐欺行為が発覚しています。
権利証や実印などを地面師にだまし取られ、詐欺行為に使われてしまった場合、発覚が遅れ、手遅れになりかねません。
権利証や実印などの重要書類は厳重に管理しておきましょう。
もし、権利証や実印などが盗まれてしまったら、法務局へ「不正登記防止申出」を行いましょう。
この申出を行うことで、申出から3カ月以内に申出をした不動産に対する登記の申請があった場合、法務局から申出者へ通知がされます。

地面師は常にターゲットとなる不動産を探しており、地面師詐欺は決してひとごとではありません。
「知らない間に所有している不動産が売られていた」ということを防ぐためにも、日頃から所有している不動産の管理を徹底することが重要です。
とりわけ相続登記が未了の不動産は、格好のターゲットとなり得るため、注意しましょう。
不明点がある場合は、専門家への相談をおすすめします。


※本記事の記載内容は、2024年12月現在の法令・情報等に基づいています。