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山林を相続することになったら……? 手続きの注意点を解説

24.11.05
業種別【不動産業(相続)】
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国土面積の約67%を森林が占める日本は、世界でも有数の森林国です。

森林は樹木が広範囲に密集している土地で、山林はそれが山岳地帯にあるという意味合いです。

森林が多い地域に家がある場合などは、相続する土地に森林(山林)が含まれる場合があります。

しかし、常日頃から山林を管理している人ならともかく、いきなり山林を相続することになったら、戸惑う人のほうが多いでしょう。

今回は山林を相続するメリットならびにデメリット、そして相続時の注意点を説明します。

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山林を相続するメリットとデメリット

山林の相続には、メリットとデメリットがあります。
まずメリットからあげると、ほかの有形資産と同じく、山林は立派な資産ですので、活用することで収益を得られる可能性があるということです。
たとえば伐採した木材を販売するといった事業のほか、キャンプ場を開設したり、太陽光発電事業を始めたりするといった選択肢があります。
また、直接的な収益にすぐつながるわけではありませんが、ハイキングコースやアスレチックエリアを作ることで、地域活性化に貢献するといったことも考えられます。
いずれも相続した山林の場所や地形に左右される要素が大きいため、一概にすすめられるものではありませんが、山林を所有するメリットになり得ます。

一方で、山林を所有することによるデメリットもあります。
まず金銭面での負担についていうと、山林を相続することによって出ていくお金は、主に(1)相続税、(2)固定資産税、(3)管理コストの3つがあげられます。
このうち、(1)相続税は相続時にのみ課税対象となるものですが、(2)固定資産税と(3)管理コストは継続的に発生するため、所有者には負担となる場合も多いです。
特に注意が必要なのは、(3)管理コストでしょう。
山林の所有者は、樹木の管理をはじめ、がけ崩れや落石が起きないように予防策を講じる必要があります。
万が一、予防策を怠った結果として、山林の周辺の住民などに怪我を負わせてしまった場合は、管理責任者として損害賠償責任などを負う可能性があるためです。
しかし、山林のメンテナンスや予防策は、専門の業者に依頼するケースがほとんどでしょう。
その場合、業者に依頼する費用が定期的に発生することにもなります。

また、上記のメリットとデメリットを比較検討した際、金銭的な負担が大きいと判断し、売却しようとしたとしても、すぐに買い手が見つかる保証がないことも、デメリットの一つです。
買い手が見つかるまでは、当然、固定資産税や管理コストを負担する必要があります。
いざというときに焦らないように、売却を検討する場合は早めの行動を心掛けましょう。

相続する、しない場合の手続きは?

山林を相続した場合、通常の相続登記の手続きに加えて、所有者となった日から90日以内に市町村長への届出が必要です。
対象となるのは、都道府県が策定する地域森林計画の対象となっている森林です。
林野庁は、登記上の地目によらず、取得した土地が森林の状態となっている場合には、届出の対象となる可能性が高いとしています。
相続対象の土地が届出対象の森林に該当するかどうかは、都道府県か市町村の林務担当部局に問い合わせることで確認できます。
この届出をしない、もしくは虚偽の届出をした場合には10万円以下の過料が科せられる場合があるため、注意が必要です。
また、2024年4月1日からは相続登記も義務化されています。
相続により不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務づけられ、正当な理由なくその申請を怠った場合、こちらについても10万円以下の過料の適用対象となります。

なお、相続した山林を手放したい場合には、売却や寄付などが選択肢として考えられます。
この場合の相談先としては、森林組合や自治体のほか、山林の売買を専門としている仲介業者などがあげられます。
ただし、前述のとおり、山林については買い手や引き取り先がなかなか見つからないことも十分にあり得ます。
そのような場合は、相続土地国庫帰属制度の利用を検討するのも一つの手です。
相続土地国庫帰属制度は2023年4月27日にスタートした制度で、相続した土地を手放して、国庫に帰属させることを可能にしたものです。
引き取ってもらえる土地には一定の要件があるほか、審査手数料ならびに負担金の納付が必要になりますが、「買い手や引き取り先を探す必要がない」「不要な土地のみを申請できる」「国が引き取るための基準が明確である」といったメリットがあります。

いずれにしても、山林を相続するにあたっては、メリットならびにデメリットを理解したうえでの対応が必要になるほか、専門的な手続きも多いため、不安な場合は専門家に相談することをおすすめします。


※本記事の記載内容は、2024年11月現在の法令・情報等に基づいています。