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大切な預金を保護!『預金保険制度』の中身を理解しよう

24.10.29
ビジネス【法律豆知識】
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銀行などの金融機関が破綻した場合、預金保険法に基づく「預金保険制度」によって、預金が保護されます。
預金保険制度は、金融機関が払い戻しをできなくなっても、制度を運用している「預金保険機構」が預金者に保険金を支払うことで、預金の保護を図るというものです。
したがって、金融機関が破綻したとしても、急いで金融機関の窓口に駆けつける必要はありません。
保護される金額の上限や、対象となる口座など、万が一に備えて、預金保険制度の詳しい中身を確認しておきましょう。

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預金保険制度は信用秩序の維持が目的

大手銀行などは経営が安定しているイメージがありますが、一般的な会社と同じく、破綻する可能性もゼロではありません。
過去には北日本で最大の銀行だった北海道拓殖銀行や日本で4番目の規模だった証券会社の山一証券も破綻しています。
ちなみに、破綻とは事業活動が継続できなくなり、経営が立ち行かなくなった状態を指します。

もし、口座を持っている金融機関が破綻してしまったら、どうすればよいのでしょうか。
かつては、預金を取り戻そうと、破綻した金融機関の窓口に預金者が押しかける「取り付け騒ぎ」が起きることもありました。
しかし、今では「預金保険制度」によって預金は保護されているので、万が一、口座を持っている金融機関が破綻したとしても、慌てる必要はありません。

お金の受払いや貸し借りといった仕組みが正常に機能している状態のことを「信用秩序」が保たれている状態といいます。
取り付け騒ぎが起きている状態というのは、この信用秩序が失われている状態といえます。
預金保険制度は、預金の保護や決済の履行などを確保することによって、この信用秩序を維持することを目的としています。

金融機関が破綻してしまったとしても、預金保険制度によって普通預金や定期預金のお金は、1つの金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までと、破綻日までの利息が保護されます。
つまり、金融機関が破綻しても、預けたお金がすべて失われるということにはならないということです。
ただし、1,000万円を超える預金に関しては、破綻した金融機関の財産状況に応じて支払いが行われるため、一部が支払われない可能性もあります。

また、1人の預金者が1つの金融機関に複数の口座を持っていたとしても、それらの口座の預金は合算され総額として算定されるので、やはり1,000万円を超える分の預金に関しては、支払われない可能性があります。

もし普通預金が1,000万円を超えているのであれば、全額が保護の対象となる当座預金や決済用預金に切り替えるか、もしくは、別の金融機関に預金を分散させ、各口座で1,000万円を超えないようにしておくと安心です。

制度運営のために設立された預金保険機構

預金保険制度は1971年に公布・施行された預金保険法に基づく制度で、何度か改正されてきましたが、政府・日本銀行・民間金融機関の出資により設立された「預金保険機構」が制度の運営を行なっています。
預金保険法によって金融機関は預金保険制度への加入が義務づけられており、加入した金融機関は預金保険機構に保険料を支払う必要があります。

銀行はもちろん、信用組合、信用金庫など多くの金融機関が制度の対象となりますが、各金融機関の海外支店や外国銀行の日本支店、政府系金融機関などは制度の対象にはなりません。
保険会社や証券会社も制度の対象外ですが、それぞれ預金保険制度とは別の保護制度に加入しています。

また、対象となる預金についても、把握しておく必要があります。
1,000万円まで保護される普通預金や、全額が保護される当座預金などの決済用預金のほかに、貯蓄預金や定期預金、通知預金なども保護の対象となります。
一方で、外貨預金や譲渡性預金などは保護の対象にはなりません。
詳しくは各金融機関や金融庁のホームページなどで確認しておきましょう。

金融機関の破綻と預金の保護は、その時の状況や金融機関の特性が大きく左右します。
普通預金は1,000万円を超えた預金が保護されない場合もありますが、もし特定の金融機関が破綻することで信用秩序の維持に深刻な障害が生じるおそれがあれば、政府によって、普通預金でも全額を保護するという、例外的な措置が取られる可能性もあります。
アメリカの例になりますが、2023年に起きた2つの銀行の破綻では、金融危機を回避するため、本来25万ドルまでしか保護されない預金を政府が全額保護しました。

金融機関の破綻は決して絵空事ではありません。
現実に起きるものとして、預金保険制度の中身をよく理解しておく必要があります。


※本記事の記載内容は、2024年10月現在の法令・情報等に基づいています。