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隣地の所有者を『登記事項証明書』で特定できない場合は?

24.10.01
業種別【不動産業(登記)】
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土地を売買するための境界確定や、ライフラインを自分の土地に引き込む際の掘削通知などのために、隣地の所有者とやり取りをしなければならないことがあります。
しかし、すぐに隣地の所有者がわかるケースばかりではありません。
もし、隣地の所有者がわからない場合は、法務局で『登記事項証明書』を取得することで、その土地が誰のものなのかを確認できます。
今回は、確認のために行う登記事項証明書の取得方法、そして登記事項証明書でも所有者がわからない場合の対応について説明します。

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隣地の所有者とやり取りする可能性とは

日本の土地はその多くが他人の土地と隣接しているため、土地の取り扱いについて、隣地の所有者と何かしらのやり取りをしなければならない場合があります。

たとえば、自分の土地を売却したり、分筆登記をしたりする場合は、土地家屋調査士に土地の境界確定測量を行なってもらい、隣地の所有者と『筆界確認書』を取り交わすことになります。
筆界確認書とは隣接する土地と土地の境界について、互いの所有者が承諾したことを示す書類のことで、境界の認識に相違がない旨と境界についての争いがないことを証明することができます。
通常は、土地家屋調査士が作成した筆界確認書を隣地の所有者に確認してもらい、両土地の所有者が署名・押印することで効力が生じます。
そのため、筆界確認書の作成にあたっては、隣地の所有者とやり取りをする必要があります。

また、新たに建物を建てる場合は、自分の土地に水道やガスなどを引き込む必要がありますが、このとき、配管によっては隣地の一部を掘削しなければならないことがあります。
その際も、隣地の所有者に掘削する旨を通知しなければいけません。

ほかにも、隣地の木の枝が境界を超えている場合や、隣地の売買交渉などをしたい場合などに、隣地の所有者と連絡を取る必要があります。
しかし、必ずしも所有者が隣地に住んでいるとは限らないため、こちらで隣地の所有者を調べなければいけないケースもあります。

隣地の所有者を調べるためには、法務局で『登記事項証明書』を請求する方法があります。
登記事項証明書は不動産の所有者の氏名や住所などが記載された証明書で、一般的に公開されており、誰でも最寄りの法務局で取得することができます。
特別に必要な書類や身分証の提示なども不要で、交付申請書に記入するだけで取得が可能です。
請求の方法によって1通につき480円から600円の手数料がかかります。
法務局のホームページなどを確認しながら、自分のやりやすい方法で手続きを行いましょう。

隣地が所有者不明土地の場合はどうする?

隣地の所有者は登記事項証明書で確認できますが、注意したいのは登記事項証明書に記載されている所有者が現在の所有者ではないケースです。
法改正により相続登記が義務化されるまでは、名義変更が行われておらずに登記がすでに亡くなっている過去の所有者のままになっているケースも多く、いわゆる「所有者不明土地」として社会問題となっていました。

もし、登記事項証明書を取得しても、隣地の現在の所有者が特定できなければ、どうすればよいのでしょうか。
たとえば、筆界確認書を取り交わしたいのに隣地の所有者が不明の場合は、『筆界特定制度』といって、筆界特定登記官が土地の筆界の位置を特定する制度を活用する方法が考えられます。
この制度を使えば、隣地の所有者と筆界確認書を取り交わす必要はありません。

また、隣地を掘削しなければならないケースでは、隣地の所有者に通知を行う必要がありますが、所有者が不明の場合は簡易裁判所への申立を行えば、裁判所の公示による意思表示によって通知したものとみなし、隣地の一部を掘削できる可能性があります。

さらに、隣地の木の枝が境界を超えて自分の土地に侵入している場合は、民法に基づき隣地の所有者に枝を切除させる必要がありますが、隣地の所有者が不明の状況では、みずから枝を切り取ることが認められ、境界を超えた枝を切り取るためであれば、必要な範囲で隣地に入ることも許されています。

このように、隣地が所有者不明土地でも、状況によっては制度や法律に基づき、所有者とやり取りしなくても問題を解決できるかもしれません。
原則として、まずは登記事項証明書を取得したうえで、それでも現在の所有者がわからない場合に別の手段を検討するようにしましょう。

隣接する土地の問題は専門家のサポートが必要になります。
状況に応じて、まずは各種問題に詳しい土地家屋調査士や弁護士、司法書士などに相談してみることをおすすめします。


※本記事の記載内容は、2024年10月現在の法令・情報等に基づいています。