阿部尚武税理士事務所

国税庁と財務省が発表! 平成27年度における【法人申告事績】と【法人企業統計調査】とは?!

16.10.06
事務所通信
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先日、初めて哲学堂に行ってきました。

哲学堂は割と手ごろな広さの中に、なんと77か所の名所があります。

すべての名所の名称を知り、その意味を考えるだけで哲学した気になります。

ただのポ〇スポットではないんですね。また行ってみたいです。


 さて今回は、平成28年9月に国税庁から発表された、【平成27年度法人申告事績】と

財務省から発表された【平成27年度年次別法人企業統計調査】をご紹介いたします。

結論を本当にざっくりいうと、『増益・増収』です

『増益』は法人の所得金額。『増益』は申告納税額を指します。

法人の申告所得は、対前年比5.3%増の61兆5,361億円でした。

また所得に対する法人税額は、同1.9%増の11兆3,844億円でした。

所得の伸びに対し法人税額の伸びが低いのは、税率の低下及び

繰越欠損金による利益の圧縮が原因と思われます。


下記が過去の推移を示す数値とグラフとなっています。

平成27年度法人税課税事績
※平成27事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要より
 これだけ見ると、だんだん日本の景気が良くなっているように思えます。

実際に、企業の経常利益はここ数年増加しています。


全産業経常利益の推移
※財務省【平成27年度年次別法人企業統計調査 概要】より抜粋


 また、財務省作成の【平成27年度年次別法人企業統計調査】より、規模別の

企業数と経常利益の構成を表にしてみました。なお、下記統計には金融・保険業は含まれておりません。


法人統計調査ー売上
 (一社当たり売上高は、単位は千円)
 これを見ると規模別の売上高の平均がわかります。

 1000万円未満であれば平均が6,841万円、1億円未満であれば5億2045万円と

いう具合です。資本金別規模と売上はやはり関連性があるといえるでしょう。

自分の階級と平均売上を比較すると、自分がどの位置にいるかがある程度確認できます。

もちろんただの平均ですので、これに当てはまらない企業も多くあると思いますが・・・


 次に、規模別の企業数と経常利益の構成を表にしてみました。

なお、下記統計には先ほど同様金融・保険業は含まれておりません。



上記表を見ると、日本の企業数が約276万社、全企業の経常利益が68兆2千億円で

あることがわかります。各階級ごとに平均の利益金額が大きく違いますが、

売上高経常利益率を見ると、1000万円以上と1億円以上(10億円未満)が

あまり変わらないところが面白いですね。

 利益率的には、資本金1億円以上の階級は、注意しないと却って資本効率が

悪いのかもしれません。資本金が増えれば株主も増えることが想定されるので、

面倒な株主対策が少ない1000万円以上1億円未満の規模のほうが

経営しやすいかもしれませんね。


 また、法人の所得金額の推移と経常利益の推移がほぼ同じ推移を見せている事で

法人税の所得金額や納税額もある程度同様であると伺うことができます。

いかがでしたでしょうか。

統計を見ると、全企業の売上と経常利益は増加傾向にあるようです。 

一応は景気が良くなっているといえるのでしょうか。

ただ今回は紹介しませんでしたが、資本金別規模ごとに業績を見ると、

中小企業がやはり伸び悩んでいるのが見て取れます。


この統計を見て、危機感を覚えるか、安心感を得るかはあなた次第ですね。