C-MASインフォメーションVol.11
医療・介護総合保険法の改正案を自民党の厚生労働部会が了承
「医療・介護総合推進法案」で医療と介護の連携を推進
厚生労働省は1 月30 日、介護と医療サービスの
提供体制を見直す「医療・介護総合推進法案」を、
自民党社会保障制度特命委員会・厚生労働部会
合同会議と公明党に提示し、二党の部会は大筋で
これを了承した。
「介護保険制度の見直し」を目指すもので、医療
法・介護保険法等の一括改正案である。
法案は増え続ける介護費用の抑制を図る一方、高齢者が住み慣
れた地域で必要な医療や介護サービスを受けられる
環境を整えるのが狙い。
社会保障審議会の基本的考え方
●今後高齢化が進展していく中で、良質かつ適切な
医療を効果的かつ効率的に提供する体制を構築する
ために、医療機能の分化・連携を進めることが必要。
●そのために医療と介護の連携の推進、医師等の偏
在の是正、チーム医療の推進、看護職員の確保、医
療機関の勤務環境の改善などの課題に対し、医療提
供体制の改革を進めるため積極的に取り組んでいく
べき。
<医療提供体制改革に関連する部分>
▽ 医療法改正(病床機能報告制度、地域医療構想
(地域医療ビジョン)の策定、在宅医療・介護
の充実と連携強化に向けた医療計画の見直し、
病院・有床診療所開設者と国民の役割、医療従
事者の確保や勤務環境改善、医療安全の確保)
▽ 保健師助産師看護師法改正(特定行為(診療の
補助を行うことであって、看護師が手順書によ
り行うにあたり、高度かつ専門的な知識・技能が特
に必要な行為として厚生労働省令で定めるもの)を
手順書により行う看護師は、指定研修機関での研修
を義務化する)
▽ 医師法改正(外国医師が一定の条件の下に我が
国で医業を行えるようにする)
<介護保険制度改革に関連する部分>
居宅サービス等の見直し(小規模な通所介護につい
て地域密着型サービスとする)
▽ 施設サービス等の見直し(介護老人福祉施設入所
者を原則要介護3 以上とする)
▽ 費用負担の見直し(一定以上所得者の一部負担を
2 割とする)
▽ 地域支援事業の見直し(介護予防サービスのうち
訪問介護と通所介護を総合事業に移管する)
▽ 介護保険事業計画の見直し(厚生労働大臣による
基本指針策定など)
このほか、体制整備のための基金創設案がある。こ
れは病床機能分化・強化を進めるための基金設立など
の事項も規定されている。基金は、4月からの消費税
増税分を活用し各都道府県に創設。施設の整備やスタ
ッフの確保などに使う。医療サービスに関しては、都
道府県が2015~16 年度に「地域医療ビジョン」を
策定し、地域内でのベッドの必要量など将来像を明示
する。計画に従わない病院には、補助金の不交付とい
った措置を取るとしている。
しかし法案化にあたり、自民党内部から一部に異論も
出たため社会保障審議会の部会意見書とは異なる部
分も出てきた。重要な内容が限られた時間の中で法案
作りを急いだために党内から「突っ込み不足」「審議
不足」などと指摘されている。
たとえば、党内の一人は医療事故を調査する第三者
機関(事故調)の設置に関する条項について「制度と
して不十分」と批判。別な一人は、介護保険の利用者
負担を一定以上の所得がある人は現行一律1割を2
割(年収280 万円以上の高齢者を対象)に引き上げ
る見直しについても「最終的に全員が2割になるので
は」と疑問を示し、法案に反対を表明している。