阿部尚武税理士事務所

熊本地震に適用できる災害対策税制について

16.04.27
事務所通信
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今回は、災害対策税制についてご紹介いたします。 熊本地域にお住いの方々には本当につらい日々を過ごされていることと思います。ここに当該地域で被災されたすべての方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
2011年の東日本大震災の際に私が書いたブログ記事が、多少でもお役に立てると思いましたので、参考にしていただければと思い、リンクを掲載いたします。
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まず 税制に関して、災害があった場合には多くの優遇規定がありますが、災害税制の多くは、事後の手続きにて適用ができるものが殆どです。 
 例えば、申告期限の延長・納税猶予など、また多くの条文にある宥恕規定もほとんど適用できることと思います。 ですので慌てて税務署等へ問い合わせることは必要ありません 

一つだけ、私が実際にとった行動で役に立ったものがありました。それは被災の現場を写真に撮る事です。 

建物の全壊など、明らかに被害を受けている場合以外でも、倉庫の窓が壊れて商品がすべてダメになったなどはよくあると思うのですが、現状の復旧に気を取られるあまり、後で被害状況を証明するものがなくなってしまう場合が結構ありました。 

その時に写真を撮っておけば、被害状況が明らかになります。また、後日市役所等から被災証明・罹災(りさい)証明を取る場合、保険会社へ保険金を請求する場合などに写真を撮っておけば、話がスムーズに進みます。
 
なお、被災証明・罹災証明は市役所で取ることになるかと思います。

災害が収束した後になりますが、被災証明・罹災証明を使う・使わないは別として取得しておく事を強くお勧めします。

税務や保険は当然として、補助金や融資など、結構いろいろなところで使えますよ。

 また、現状復旧する際に行った修理代金等の見積書・請求書も同時に保管しておきましょう。

その請求書に『原状回復費用』と明記してもらえば完璧です。商品廃棄の際には廃棄証明も忘れずに取っておきましょう。 

被災地域以外の方々で、義援金を拠出したいと考えている方々も多くいるかと思います。

そのような方は、下記のリンクから標準的な義援金等の説明とともに、義援金設立団体の設立方法を紹介した記事を読んでください.

義援金募集団体の設立方法とは? 

また東日本大震災の際に国税庁が作成したサイトに掲載されている、義援金に関する税務上のFAQがとても役に立ちます。

【国税庁】寄付金・義援金に関する取扱いについてはこちら 

全国組織のある同業者団体が取りまとめた義援金の取り扱いや、支援物資を送った際の経費(所得税・法人税ともにすべて経費となります)など、

気になる点はだいたい書いてありますので、支援物資を送りたい方や、義援金を集めたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。 

ただ、平成28年4月17日現在は受け入れ態勢がまだ整っていないようです。

【熊本県】平成28年熊本地震災害に伴う救援物資の受入れについて  

また、東日本大震災の時と違うのが、マイナンバーがある事ですかね。マイナンバーは確か災害対策に役立つはずです。 

何か行政サービスやちょっとした補助金がある場合には、もしかしたら手続きがスムーズにいくかもしれません。

通知カードがある方は持って歩いたほうが良いかもしれませんね。 

なお、自分の個人番号が分からなければ、市役所にて住民票を取ることで確認できます。

 
<熊本地震に関するその後の情報>

平成28年4月22日に、国税庁に特設ページが開設されました。

平成28年熊本地震に関するお知らせ 


今後、税務に関する熊本地震の情報は、上記サイトですべて確認できます。 

また、同日に申告期限の延長の告示が発表されました。

平成28年4月21日以降申告期限、納付期限が到来する国税について、

国税庁の指定期日が告示されるまで、自動的に期限が延長されます。(国税通則法11)対象地域は熊本県全域です。   


なお、この地域に該当しない地域でも、事後受付による申告・納付期限延長の申請をすることが出来ます。ですので、慌てる必要はありません。 

この延長期限は、口座振替納付や延納にも適用されます。 熊本県外で被災された方で、すでに口座振替納付により納税が住んでいる方でも、手続きをすることにより還付を受けられることがあります