阿部尚武税理士事務所

一度決めたらとめられない?!とっても怖い【相続時精算課税とは】?

16.03.02
事務所通信
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2月6日に、地元習志野の社会人アメフトチーム【オービックシーガルズ】の選手を迎えて、確定申告の啓蒙イベントに参加しました。写真は25番キャプテンの砂川敬三郎選手です (^^♪


さて今回は、相続時精算課税についてご紹介いたします。 相続時精算課税とは、生前贈与には贈与税を一定額まで課税しない代わりに、相続時に相続税を課税する、贈与税に関する制度です。皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
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しかしこの制度には大きな問題があります。それは『選択の撤回が出来ない』事です。
一度この制度の選択をしてしまうと、届出に関する贈与者からの、その届出を提出した年以降の全ての贈与について、相続税の課税の対象となります。 

これに対して通常の贈与(特に【暦年贈与】といいます)は、贈与税の課税の対象となりますが、以下の特徴があります。





※暦年贈与の特徴
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1.110万円の基礎控除がある
2.誰にでも贈与ができる
3.相続開始前3年以内の贈与でなければ、相続税の課税対象とならない
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まず基礎控除の範囲内の贈与であれば、贈与税の支払いをせずに済みます。さらに、毎年何らかの形で贈与を行うことで、相続税の課税財産を減らすことが出来ます(例外もあります)。

 

ただし、相続開始前3年以内の贈与に該当する場合には、特別に相続税の課税対象となってしまいます。
この場合で、基礎控除内として贈与税の課税対象とならなかったとしても、相続税の課税対象となります(相続税法19条)。 
また生前贈与をすることで、間接的な遺言執行の効果も期待できます。

例えば、相続人とならない方に生前贈与をする事で、相続人に知られずに遺贈の効果を期待することが出来ます。
(相続時精算課税は推定相続人もしくは孫以外には適用できません)
 
ところで相続時精算課税は、一般的に遺産総額が相続税の基礎控除額以下であれば選択する方が良いとされています。
ですが、相続税の課税制度がどんなに変わっても絶対に撤回できない所がこの制度の怖さです。 
 
現に、平成27年から相続税の基礎控除が従前に比べて40%減少しました。

この制度改正により、相続税の申告者数が倍になると言われています。

また、財産の移転と課税のタイミングが年単位でずれるため、相続税の納税資金を確保することが困難な場合があります。

特に現金での贈与の場合、相続開始時には残っていない事がほとんどではないでしょうか。そんな時でも相続税の支払いをしなければなりません。

 

※相続時精算課税のポイント
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1.贈与税の基礎控除が使えない
2.絶対に撤回できないので、制度変更があっても対応できない
3.相続税申告の際の納税資金を確保しなければならない
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相続時精算課税には良い部分もいっぱいあります。ただし、受贈者もそうですが贈与する方も上記ポイントを十分踏まえて贈与をすることをお勧めします。