阿部尚武税理士事務所

介護キャリア段位制度の見直しで検討会スタート 厚労省、初会合で論点提示 目標の認定者数届かず 

15.10.21
C-MAS会-介護事業
dummy

厚生労働省は10月8日、「介護プロフェッショナルキャリア段位制度の在り方に関する検討会」の初会合を開催し、「概要および進捗状況」、「今後の進め方」に関して議論を進めた。段位制度は介護分野の実践的キャリアアップの仕組みの構築を通じて、介護職員の定着や新規参入の促進を目指すもの。

dummy

段位制度は、キャリアアップ戦略として国家プロジェクトに位置づけられ、2012年度から内閣府が実施していたが、2015年度からは「介護職員資質向上促進事業」(国庫補助事業)として、厚労省に移管。2014年度までに、47都道府県で、7,817人のアセッサー(評価者)を養成し、全国的な評価体制が整備されている。

 

制度創設当初は、2020年にキャリア段位認定者を約13万人確保するため、創設後3年間で2万人、2015年度以降は各年度2万人程度の認定者を輩出する予定であった。しかし現状は、レベル認定者が688名、アセッサーが7,817名と、目標を大きく下回る。

 

今回、厚労省は段位制度により、
(1)介護職員のキャリアアップの仕組みの構築、

(2)職業能力評価の共通基準による段階的評価、

(3)事業所内でのOJT(実務による職員のトレーニング)を活用した内部評価と人材育成、

(4)アセッサーの評価技術の資質・平準化を担保、

(5)「知識」と「実践的スキル」両面の評価――を行っていると説明。

 

8日の検討会で、座長は慶応大学の田中滋名誉教授

に決まった。検討会構成委員は、有識者、労働界、

産業界、事業者等から16名あまりが初顔合わせし

た。

この日、まず現行の段位制度についてフリートーク

を行った。その結果、様々な分野の声として「認知度が

非常に低い。より効果的な広報が必要では」「現場の負担

が大きい。今のままではかなり厳しい」「客観的な評価を

担保する仕組みに不備がある」といった批判が続出。

介護報酬と結びつけ、事業所や職員が挑戦するインセンテ

ィブを強めるよう求める声もあがった。

 

今後、介護職員の実践的な職業能力を評価・認定する制度

の、効果的な運営と定着を図るため、現状と課題などを整理

するとともに、介護職員の資質向上に向け、制度のあり方

を議論するとしている。

 

検討会は月1回の割合で開催し、2016年3月をめどに

取りまとめる予定。

 

主な検討事項は次の通り。

 

(1)  介護キャリア段位制度に関する現状と課題について

(2)  介護キャリア段位制度の効果的な運営方法について

(3)  介護キャリア段位制度の今後の在り方について

 

主な論点として、「制度の性格や位置づけ」、「レベル認定取得

者を輩出した事業所への外部評価の仕組み」、「7段階評価の

あり方(現在は4段階)」、「レベル認定取得者数の目標」を検

討するとしている。

 

11月に開かれる第2回では、事業者からヒアリングを行う。

12月以降は審議内容の整理と議論を進め、今年度中に取りま

とめを行う予定だ。この間、現状と課題などを整理し、改めて

制度のあり方を検討するとしている。