東京圏は急激な高齢化で介護深刻、「高齢者に地方移住を」
産業界、大学、元官僚の有識者、研究者らによる民間主体の日本創成会議の首都圏問題検討分科会は6月4日、近い将来、東京圏全体で介護施設等の不足が深刻化するおそれがあり、東京圏(一都三県―東京、神奈川、埼玉、千葉)の高齢者が希望に沿って地方へ移住できるようにすべきなどとする提言「東京圏高齢化危機回避戦略」を公表した。
報告のポイントは2025年の介護需要が現在(2015年)に比べ45%増え、172万人に上ると試算した。これは全国平均(32%増)を大きく上回
り、他地域に比べ突出している。入院需要も21.8%増加する。これに対して東京圏の1都3県では今後、団塊の世代が大量に高齢化。医療・介護の受け入れ能力が全国平均よりも低く、介護施設・人材等の不足が起こり、したがい今から地方移住を促す施策の推進などを提言している。
推計値によると2020年には高齢化率が26%超とな
り、後期高齢者は今後10年間で175万人増と、全国
の増加数の3分の1を占める。これにともない、深刻
化する東京圏全体で介護施設の不足。2015年は都区
部の不足を周辺地域が補っているが、2025年以降、
東京圏全地域でマイナスとなり、2025年時点では1
都3県で13万人分余りのベッド数が不足する。また
2025年度においては医療介護職員も東京圏で必要な
人材を全国の3分の1程度と見込むと、80万~90万
人の増員が必要と見込んでいる。
分科会は、東京圏の高齢化問題への対処は日本全体の将
来像を左右するとして、次のような方向性を打ち出した。
(1) 医療介護サービスの「人材依存度」を引き下げる構造改革、
(2) 地域医療介護体制の整備と高齢者の集住化の一体的促進、
(3) 1都3県の連携・広域対応が不可欠、
(4) 東京圏の高齢者の地方移住環境の整備。
(3)では、1都3県と5指定都市の連携による、高齢
者について地域医療介護体制の整備と住まいの確保に
関する広域的な対策を盛り込んだ「東京圏高齢者ケア
・すまい総合プラン(仮称)」の策定を提唱。(4)では、
移住関心者に対し、ワンストップ相談窓口の整備や移
住に伴う費用の支援、お試し移住支援などを推進。さら
に、定年前からの勤務地選択制度や地方移住(二地域居
住を含む)を視野に置いた老後生活の設計の支援などを
提言している。
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