「社会福祉法人制度改革について」報告書発表 厚労省
「社会福祉法人制度改革について」報告書発表 厚労省
公益性、社会貢献等「制度見直しの必要性」を強調
厚生労働省は2月18日、時代の変化に対応した制
度的な見直しが不可欠とする社会福祉法人制度の「
見直し案」をまとめた「社会保障審議会・福祉部会報
告書~社会福祉法人制度改革について~」を発表した。
社会福祉法人は、昭和26年に制度化されて以来、社
会福祉事業の担い手として重要な役割を果たしてきた
が、近年の取り巻く環境や状況の変化に伴い、制度の
見直しを図る必要がでてきている。
平成26年8月27日よりこれまで計14回にわたり
審議を重ねてきた。
報告書は、これまでの本部会における審議を整理し、社
会福祉法人制度の見直し等について、制度的な対応が
必要な事項を中心に取りまとめたものである。
<主な内容>
▼ 現在の社会福祉法人には、法令において、各機関の
役割や責任を明記し、牽制機能が働くような仕組みがな
いため、理事の「義務と責任」を法律上明記するなど、法
制上の枠組みや欠格事由に関する規定を整備する。
▼ 財務会計に関しては、例えば、財務諸表が不正確と
いった実態があり、監事機能が十分でないことから、監
事の権限や責任を法律上規定することが必要だ。
▼ 情報開示については、閲覧請求者を国民一般に拡
大する必要があり、インターネットを使いながら公表する
ことが適当である。
▼ 社会福祉法において、日常生活・社会生活上の支
援を必要とする者に対しては、無料又は低額の料金に
より福祉サービスを提供することを、社会福祉法人の責
務とする必要性を示した。
厚生労働省 発表資料(要旨)―
(1) 公益性・非営利性の徹底
社会福祉法人は、今日、福祉ニーズが多様化・複雑化す
る中、公益性と非営利性を備えた法人として、その役割
はますます重要となっており、その組織運営等において
その在り方を徹底することが求められている。
(2) 国民に対する説明責任
今日、多様な事業主体により福祉サービスが供給される
ようになっていること、また、一部の社会福祉法人によ
る不適正な運営のため、社会福祉法人全体に対する信
頼が揺らいでいることから、社会福祉法人の存在意義が
問われている。 社会福祉法人の公益性・非営利性を担
保する観点から、経営組織の強化、運営の透明性、財務
規律の確立を図り、社会福祉法人のあるべき姿について
国民に対する説明責任を果たすための制度改革が急務
である。
(3) 地域社会への貢献
社会福祉法人は、その解散や合併に所轄庁の認可が必
要であり、解散した社会福祉法人の残余財産の帰属に
ついて制限があるなど、地域社会とともに存在し、地域
福祉を支える使命を制度上も担保されている。
社会福祉法人の今日的な意義は、他の事業主体では対
応できない様々な福祉ニーズを充足することにより、地
域社会に貢献することにある。