阿部尚武税理士事務所

新たな資金調達方法として注目の【クラウドファンディング】とは?!-その2

14.10.01
事務所通信
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みなさんこんにちは!

前回のメルマガでは、クラウドファンディングの

概要についてお話をいたしました。


 今回はクラウドファンディングによる、

利益を受け取った側の税務について

お話ししたいと思います。
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 クラウドファンディングは以下の類型に

分れることを、前回の記事で紹介しました。


1.投資型

2.寄付型

3.購入型


1.投資型について

 投資型のクラウドファンディングは、投資組合や

匿名組合を経由して起業者に資金が提供される

タイプのクラウドファンディングです。

 ですので、出資者は匿名組合に対する

出資金の取り扱いと同じになります。


 匿名組合等の資金の流れは以下の通りです。

① 個人・法人が匿名組合等に出資する

② 匿名組合等が起業者に資金を投資する
 (通常であれば、株式の引き受け等になります。)

③ 匿名組合等が起業者から配当を受け取る

④ 匿名組合等が出資者である個人・法人へ
 配当をする。

よって、個人が受け取る配当は、原則として雑所得となります。
(所基通 36・37 共-21)


2.寄付型

 資金提供者が、起業者に対して見返りを求めない

資金提供、いわゆる寄付型でのクラウドファンディングに

ついては、個人の場合と法人の場合で取り扱いが

異なります。


① 資金提供者が個人の場合

 資金提供者が個人の場合には、その資金については

税務上の課税関係は生じません。

つまり、経費等の計上はできないことになります。


② 資金提供者が法人の場合

 資金提供者が法人の場合には、寄付金となり、

寄付金の損金不算入の規定の適用があります。

この寄付は特例の適用がありませんので、

提供額のおおむね90%以上が経費となりません。


3.購買型

 購買型のクラウドファンディングは、会計処理が重要になります。

購買型のクラウドファンディングは、資金提供に見合う

商品の受け渡し、もしくはサービスの提供がありますが、

通常は、資金提供時と商品等の受け渡しの時期が

ずれてしまいます。


 ですので、資金提供時は、一旦は前払金処理されます。

この時点での課税関係は生じません。


 その後、商品の受け渡し等があった場合には、

その時点で費用計上がなされます。

 個人の場合で事業を行っているとき、その商品や

サービスが事業に直接必要な経費である場合には、

必要経費に算入されます。

 また、法人の場合には、その商品・サービス・利用目的に応じて、

それぞれの経費項目として、損金計上できます。

(内容によっては、給与もしくは役員賞与となる場合もあります)


 ただし購買型の場合には、プロジェクトの中止等により

商品の受け渡し等がなされない場合に

問題が生じます。


 商品の受け渡し等がなければ、前渡金がそのまま残ってしまい、

仮にその返金がなされない場合には、貸倒損失の計上と

ないってしまうからです。

 貸倒損失の計上は厳しい条件があり、この条件を満たさないと

法人税法もしくは所得税法上の経費として認められません。


 上記を見ると、購買型のクラウドファンディングであれば、

経費計上できるので、資金提供者に有利と言えます。

ただし、プロジェクト中止等の事故がある場合には、

面倒なことになりそうです。