阿部尚武税理士事務所

どんな業種にも研究開発税制は認められます。意外と知らない【研究開発税制】とは?

19.10.21
事務所通信
みなさんこんにちは。

令和初の秋は、東日本地域の方々には、

台風に翻弄された大変な季節となってしまいました。

本格的な復旧はまだまだこれからだと思います。

一日でも早い復興を祈念申し上げます。

さて今回は、意外と知られていない研究開発税制についてです。
今は歴史的に法人税の税率が低い時代です。

節税を考える上では、所得税の高さと法人税の低さ

(私は所高法低と呼んでいます)を理解する事が

とても重要です。所得税を納税せず、法人税をうまく

納税すると資金が手元に残りやすくなります。

ですので、法人税を納税する場合に法人税の税額控除を

十分理解する事で、全体の節税につながりやすくなります。

 また中小企業ではあまり注目されていませんが、

実は風俗業などの特殊業界以外、ほぼ全ての

業種で研究開発税制は適用することが出来ます。

ですので、試験研究費の支払があれば、研究開発税制の

税額控除を受けることが出来ます、

今回は、研究開発税制の概要と研究開発費のポイントを

ご紹介いたします。

1.研究開発税制の概要

 研究開発税制には3つの類型があります。

※研究開発税制の種類

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①試験研究費の総額に係る税額控除制度
②中小企業技術基盤強化税制
③特別試験研究費の額に係る税額控除制度

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③は国等との共同開発に係る研究開発ですので、

中小企業が取れる税額控除は主に①と②です。

 研究開発税制が取れる条件は、今期に支出した

試験研究費が、前3期の試験研究費の平均額より

多い場合に適用されます。

また、前3年以内に試験研究費の支払がなければ、

必ず研究開発税制が適用できます。

 そして重要なのが、試験研究費となる経費です。

どんなものが経費となるのでしょうか。

2.試験研究費の種類

 税法上、試験研究費として認められる経費は、

目的要件と経費要件があります

※目的要件

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1.製品の製造又は技術の改良、考案若しくは
  発明に係る試験研究のために
  要する一定の費用
2.新サービス研究のために要する
  一定の費用

~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

新サービス研究については、こちらのリンクを

参考にしてください。ざっくり言うと、いわゆる

ビックデータ解析を利用した事業に関する研究費です。

 試験研究は基礎研究・応用研究・開発研究の

3つに区分されますが、可能性が高いのは開発研究です。

1の要件を満たす試験研究であれば、

製造業以外でも適用可能です。

次に経費要件です。

※経費要件

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1.その試験研究を行うために要する
  原材料費、人件費(専業に限る)及び経費
2.他の者に委託をして試験研究を行う法人
  のその試験研究のためにその委託を
  受けた者に対して支払う費用
3.技術研究組合に支払う賦課金
4.試験研究のために使用する減価償却資産
  の減価償却費

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人件費は開発専業の研究員でないと認められません。

材料費・経費は使えます。また、委託開発は

子会社への委託でも適用できる点が

ポイントです。

上記経費や目的が明確であれば、開発計画を

立てて、計画・開発・検証のプロセスを

記録する事で、十分研究開発税制を

活用することが出来ます。

皆さんの事業でも、技術開発を行ってみては

如何でしょうか。