阿部尚武税理士事務所

長く務める従業員が多い会社が有利に?新しくなった【所得拡大促進税制】とは?!

19.03.11
事務所通信
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みなさんこんにちは。

気が付いたら春はもうすぐそこに来て

しまいました。

さて幣所では、初めて事務所に神棚を

お祀りいたしました。

改めて気持ちを引き締め、

従業員・顧問先・地元地域の永続的繁栄に

資するよう頑張っていきたいと思っています

ので、どうかよろしくお願いいたします。

さて今回ご紹介するのは、新しくなった

【所得拡大促進税制】です。
平成25年度から始まったこの制度は、以下の要件を満たす場合に、

前期から増加した人件費の10%(特定の要件を満たす場合には22%)

を納税額から控除する制度です。

企業はもちろん、個人事業者にも適用があります。

この制度の適用要件が変わり、さらに税額控除の上乗せができる

ようになりました。


1.要件の変更

※所得拡大促進税制の要件(今まで)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1.基準年度と比較して給与が増加

2.前期と比較して給与が増加

3.前期と比較し一人当たりの月額給与が増加

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

上記要件が以下の通りとなります。

※所得拡大促進税制の要件
(平成30年4月以降開始事業年度より)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1.(なし)

2.前期と比較して給与が1.5%増加

3.前期と比較し一人当たりの月額給与が増加

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 実は、3の『一人当たり給与』の対象者も変わりました

今までの対象者の条件は以下の通りです。

※『一人当たり給与』の対象者
(すべての要件に該当する者)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1.前期・当期に給与をもらっている者

2.60歳以上の再雇用されている者

3.週20時間以上働いている者

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1ですが、前期に中途入社した場合や当期に

中途退職した者も含まれます。

 これが平成30年の税制改正で、以下のように

変更となります。


※『一人当たり給与』の対象者
(すべての要件に該当する者)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1.前期首から当期末まで在職してる者

2.60歳以上の再雇用されている者

3.週20時間以上働いている者

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

違いは赤字の部分です。これまでは、前期と当期に

在籍していた者の平均給与で判定していましたが、

これからは前期首から当期末まで在籍している者

のみで判定します。

ちょっとわかりずらいのですが、要は長く在籍している者

の給与が上がれば適用できることになります。

ですので、従業員の入退社が激しくて平均給与が

上がらない企業には朗報です。

また2年以上勤めている従業員がいない会社には

適用がありません。ここもポイントかもしれません。

従業員が入社したばかりの場合、入社3年目の

決算から適用が受けられます。


2.税額控除

税額控除は控除額が10%から15%に増加しています。

さらに以下の要件を満たしている企業は10%の

上乗せ措置があります。通常の15%と合わせると

最大25%の税額控除が認められます。


※上乗せ要件(次のいずれかを満たす)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1.教育訓練費が前期より10%増加し、

    『一人当たり給与』が2.5%増加している事

2.経営力向上計画の認定を受け、

    その後経営力向上報告書を提出する事

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

上乗せを目指すために従業員の給与を増やし、

かつ教育訓練費を増やす目標を立てると

良いかと思います。



如何でしょうか。

判定の基準がかなり異なることになるので、一概に

良くなったか悪くなったかは言えませんが、

長く務める従業員の待遇を良くしてくことで、

税額控除が受けられると考えれば、事業発展のため

従業員のモチベーションを上げるきっかけづくりが

出来るかもしれませんね。