C-MASインフォメーションVol.13
◆特養ホーム 入所待機は52万人 高齢化進み10万人増 厚労省調査 4年で10万人増 施設不足が浮き彫りに
――厚生労働省
厚生労働省は3月25日、特別養護老人ホーム
(特養ホーム)への入所を希望している、いわゆる
「入所待機者」が、今年3月の全国集計で約52万
2千人に上ったと発表した。
これは2009年12月の前回集計の約42万1千人
より4年間で約10万人増えた。待機者全体の3分
の2を占めているのは、食事や排せつに介助が
必要な要介護3~5の中重度者で約34万4千人
に上る。
待機者の中でも他の介護施設には入らず、自宅
で特養の空きを待っている人は25万7934人
(49.4%)。介護老人保健施設(老健)など他の
施設に入所して空きを待つ人たちは26万3754
人(50.6%)だった。
急速な高齢化の進行で、自治体が特養を整備
するペースを入所希望が上回り待機者が増加
した。これに対して政府は在宅介護への移行を
促しており、特養へは原則、要介護3以上に
限定する方針の介護保険法改正案を国会に
提出していて、2015年度施行を目指している。
<特養ホーム>
ただ、特養での介護を望む高齢者が依然多い。
特養が有料老人ホームなどより比較的料金が
安いことと食事や入浴、排せつを含め、日常
生活全般で手厚い世話を受けられるし、
負担額が少なくて済む利点が希望者を増やす
理由になっている。待機者の中には「症状が
軽いのに早めに申し込む人もいる」との傾向
を指摘する地域もある。
その半面、運営費の大半を介護保険で賄い、
入所者1人当たりの給付額は月30万円近く
保険財政には重荷となっている現実がある。
政府方針は症状の重い人に限って特養で
受け入れる法改正を目指しているが、ギャ
ップが浮き彫りとなった格好だ。
特養ホームへの入所待機者は09年度が
42万1000人だった。
毎年、各自治体が特養整備を進め、
入所者数の枠は09年時点から7万4800人
分広がっているが、それ以上に「待機者」が
増えたことになる。
特養ホームに入れない待機者の受け皿と
なるのが、在宅介護。
自宅で暮らしつつデイサービスやホームヘ
ルパーを利用したり、配食や見守りなど
一定のサービスが付く高齢者向け集合
住宅へ入居したりするのを見込む。
< 有料老人ホーム>
高齢者住宅(サ高住)を含めた「有料
老人ホーム」の数は、民間企業が運営
に参入したこともあり、厚労省の調べで
12年には約7500と4年間でほぼ倍増
したが、今回の厚労省の調査が、特養
ホームへの入所希望が依然として根強
いことを表していて、在宅介護が利用者
に周知する環境整備に時間をとられ、
利用者のニーズを満たすには条件が整
っていない現状を露呈しているといえよう。
2015年の介護保険改正が大きな転機
となりそうだ。