阿部尚武税理士事務所

法人成りをする社長の給与はいくらが適正か?‐②法人利益0方式と生活費方式

17.05.08
事務所通信
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GW最後、我が家はカミさんの実家にて、みんなでおうちバーベキューをしました。

連休はお陰様でのんびり楽しく過ごさせていただきました。


 さて今回は、前回からの続きとなります。

法人成りの場合、役員報酬をいくらにすればよいかを 検討したいと思います。
その前に、前提をもう一度紹介したいと思います。 
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① 社会保険の強制加入は覚悟する 
② 借入金は法人利益からしか返済できない 
③ 上記2つから基本金額の補正をする 
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詳細については、こちらの記事を参考にしてみてください。 


いくつか考え方があると思いますが、今回は2つの考え方をご紹介いたします。 
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1.法人利益0方式 
2.生活費方式 
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まずはこちらから。割と理解しやすい方法です。 

1.法人利益0方式 

 【法人利益0方式】とは、【見込み利益=役員報酬】として 

法人の利益を限りなく0にする方式です。 

要は、個人事業主の時の事業所得を役員報酬とする方式です。 

 但し現在は、社会保険の強制加入が一般的となっており、 

たとえ役員報酬しか払わない場合であっても 

法人として社会保険に加入しなければなりません。 

ですので前回ご紹介した通り、見込み利益に社会保険の補正をかけた 

基本金額を役員報酬の年額とする方法が、この法人利益0方式となります。 

また借入金がある場合には借入金の補正も必要になります。 

※算式 
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役員報酬=基本利益 
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2.生活費方式 

次は、必要な生活費から役員報酬を算出する方法です。 

この方法は、自分の生活費を見直すきっかけにもなります。 

考え方は単純です。自分の生活費を算出して、そこから 

税金を逆算して役員報酬を決めます。 

※算式 
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役員報酬=①生活費+②税金・社会保険 
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それでは生活費と税金・社会保険を別に解説します。 


①生活費 

生活費は毎月かかるものと年間でかかるものの2種類があります。 

細かいことを言ったら限がありませんので、ざっくり大目に 
考えて計算してみましょう。

※代表的な生活費 
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a 家賃もしくは住宅ローン返済額 
  ・・・実際の額です。 
b 食費 
  ・・・一日800円×家族の人数を目安に。 
    こちらのリンクを参考に 
c 通信費 
  ・・・平均は11,890円(ネット+電話) 
    こちらのリンクを参考にどうぞ 
d 水道光熱費 
  ・・・電気水道ガス合計で17,905円が 
    平均です。こちらのリンクを参考に 
e 教育費 
  ・・・塾・習い事などです。 
f 貯金・保険 
  ・・・貯金も生活費に入れたほうが 
    無難です。 
g 固定資産税(年額) 
  ・・・持ち家であれば必須です。 
h その他 
  ・・・わからなければ月5万円で。 
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上記金額を合計したものが、生活費です。 

だいたいのお金の流れは、通帳を見ればわかると思います。 

ポイントは住民税・国保・国民年金を入れない事です。 


②税金・社会保険 
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税金・社会保険=a税金+b社会保険 
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税金・社会保険は生活費から逆算します。 

a.税金 
税金は所得税と住民税です。 
細かいことを決めると時間がかかりすぎてしまうので、ざっくりいきます

1.生活費が290万円以下の場合 
      ・・・生活費×16.4% 
2.生活費が410万円以下の場合 
      ・・・生活費×18.8% 
3.生活費が700万円以下の場合 
      ・・・生活費×27.5% 
4.生活費が1450万円以下の場合 
      ・・・生活費×44.3% 

b.社会保険 
社会保険は国民健康保険と国民年金で分けて考えます。 

1.国民健康保険(国保) 
・・・生活費×10% 
2.国民年金(国年) 
・・・197,880円×20歳以上の扶養親族の人数 

b社会保険=国保+国年 


ちょっと長くなりましたが、これで生活費方式は計算できます。 

ですが生活費方式は最後にチェックをしなければなりません。 

このチェックを通過できれば、生活費方式での役員報酬は 

正当性を得ます。 


※チェックの算式 
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生活費方式による役員報酬=<基本利益 
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 生活費がいくらかかろうと、今までの所得以上に使うことは 

出来ませんよね。


 この算式を満たせなかったという事は、どういう事なのでしょうか。 

所得以上に生活費が多ければ、当然お金が足りなくなるので、 

そもそも生活費としてお金を使えません。 

もし生活費を実際に使っているのならば、どこからか 

お金を調達しているはずです。 

例えば貯金を切り崩しているとか、あるいは誰かからお金を 

借りて生活していることになります。 


 これを機会に生活費の支出状況と生活資金の調達手段を 

もう一度確認してみてください。