阿部尚武税理士事務所

相乗効果に期待! 建設業者が『宅建業』を兼業する利点とは

26.11.03
業種別【建設業】
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建設業を営むなかで、事業の幅を広げるにはさまざまな方法がありますが、その選択肢の一つとして、「宅地建物取引業(以下、宅建業)」との兼業があります。
建設工事という本来の業務に加えて、土地や建物の売買・仲介まで自社で対応できれば、顧客に対してより魅力的なサービスを提供できるようになります。
しかし、建設業者が宅建業を兼業するためには、理解しておくルールや要件があります。
兼業を検討しているのであれば、その利点や免許取得の基本的な流れ、注意点などを把握しておきましょう。

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宅建業者の役割と兼業することのメリット

宅建業とは、宅地や建物の売買・交換をみずから行うことや、売買・交換・貸借の代理・媒介を業として行うことを指します。
宅建業者は、みずからが売主となって不動産を販売したり、買主と売主の間に入って売買の仲介を行なったりします。
さらに、賃貸物件のオーナーと入居希望者の間を取り持つ賃貸仲介も宅建業者の業務です。
不動産取引は金額が大きく、権利関係も複雑になる傾向があるため、専門的な知識を持った業者が関与することで、安全で公正な取引を実現する役割が求められています。

この宅建業を営むためには、「宅地建物取引業」の免許が必要になります。
1つの都道府県内にのみ事務所を設置する場合は都道府県知事免許、2つ以上の都道府県に事務所を設置する場合は国土交通大臣免許を受けなければなりません。
無免許で宅建業に該当する行為を行なった場合は、宅地建物取引業法に基づく罰則の対象となります。
そのため、建設業者が宅建業に該当する不動産取引を業として行うためには、この免許を取得する必要があります。

では、免許取得というハードルを越えてまで、建設業者が宅建業を兼業することに、どのようなメリットがあるのでしょうか。

最大のメリットは、顧客に対してサービスを一本化できることです。
たとえば、注文住宅を建てたいと考えている顧客に対して、建設業のみを行なっている場合は建物の設計や施工しか提案できません。
しかし、宅建業を兼業していれば、土地探しから自社でサポートできるようになります。
顧客にとっては、窓口が一つになるため負担が減り、建設会社としても、土地探しの段階で他社に顧客が流れるのを防ぎやすくなります。

また、収益源の多様化も経営上の利点です。
建設工事による請負報酬に加えて、不動産取引に伴う仲介手数料や、自社で購入した土地に建物を建てて販売することによる利益を得られるようになります。
一般的に建設業は案件の規模が大きく、収益が上がるまでに時間がかかることがありますが、不動産仲介などの比較的短期で報酬が発生する事業を組み合わせることで、資金繰りの安定化を図れます。
自社でリフォーム工事から中古物件の販売までを一貫して行う買取再販ビジネスなど、事業展開の選択肢を広げることも可能です。

専任宅建士と営業所技術者等に関するルール

宅建業には、事務所の設置や専任の宅地建物取引士(以下、専任宅建士)の配置などの要件が定められています。

事務所については、継続的に宅建業を行える施設や体制が整っている必要があります。
建設業の営業所と同じ場所に設ける場合も、宅建業の事務所として継続的に業務を行える状態を整える必要があります。
具体的な基準は行政庁によって異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
また、事務所ごとに一定の割合で専任宅建士を配置することが法律で義務づけられています。
宅建業に従事する者5人につき1人以上の割合で配置する必要があるため、社内で専任宅建士となる人材を育成するか、新たに採用する必要があります。

実務上で問題になりやすいのが、この宅建業の専任宅建士と、建設業の営業所技術者等の兼任に関するルールです。
建設業法でも、営業所ごとに営業所技術者等を配置することが定められています。
宅建業の専任宅建士と建設業の営業所技術者等は、それぞれ常勤性や専任性が求められます。
ほかの事務所や営業所において専任を要する職務と兼任することは、原則として認められません。
ただし、同一法人の同一場所にある事務所・営業所で勤務し、業務量などから常勤性や専任性に支障がないと判断される場合には、兼任が認められることがあります。
具体的な判断は行政庁によって異なる場合があるため、免許申請・変更届などの前に、所管の行政庁に確認することが重要です。

宅建業の免許を取得するには、こうした要件を満たしたうえで、必要な書類を作成し、管轄の都道府県または地方整備局などへ申請を行います。
通常、申請から免許が下りるまでには数週間から数カ月の審査期間がかかります。
免許取得後も、営業保証金を供託するか、保証協会に加入して弁済業務保証金分担金を納付しなければ、営業を開始することはできません。

建設業者が宅建業を兼業することは、顧客への提案力を高め、収益の柱を増やす有効な手段です。
土地探しから建物の完成までを自社で一貫してサポートできる強みは、厳しい競争を勝ち抜くうえでの武器になるはずです。
免許取得の要件や人員配置のルールなどを正しく理解し、計画的に事業の拡大を進めましょう。


※本記事の記載内容は、2026年11月現在の法令・情報等に基づいています。