わかもり税理士事務所

是か?否か?クレーム対応のマニュアル化

13.12.08
業種別【歯科医業】
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就職活動中の学生を対象とした講演で
「社会人として大切なものは何か」と
質問したことがあります。
過半数の回答が「ビジネスマナーを修得すること」
だったのには、予想外で驚きました。
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クリニック経営、次の一手

さらに「ビジネスマナーを習得するにはどうすればよいか」
と質問をしてみると、ほとんどの学生が
「マニュアルを覚える」と答えました。

講演後に話を聞いてみると、
ビジネスマナーのマニュアルを覚えて行動しておけば
間違いがなくて安心できるから、とのことでした。

クレーム対応の講演を行った場合にも、
同じようにマニュアルを希望するスタッフが多数います。
正解を知って安心して仕事をしたいという気持ちはわかりますが、
果たしてクレーム対応のマニュアル化は
無条件に是だといえるのでしょうか。

マニュアルには、次の2種類があります。

○「How to」が記された訓練用マニュアル
○「Why」が記された教育用マニュアル

就活中の学生が欲しがったマニュアルは、
ビジネスの現場で使われるマナーを
列記した訓練用マニュアルでした。

その内容通りに行動すれば
現場で怒られないマニュアルです。
クレーム対応の講演を聞きに来たスタッフも、
同様のことを期待したのだと推測できます。

しかし、マナー・接遇・クレーム対応といった
対人コミュニケーションは機械や受発注のように
絶対的な正解を定められるものではありません。

仮にあらゆるケースの対応方法が書かれた
詳細な訓練用マニュアルが作れたとしても、
それだけではコミュニケーションで必須となる
ホスピタリティやシンパシーを身に付けることはできないでしょう。

なぜそういう応対が必要なのか、
どうしてそういう言葉は不適切なのか、
といった考え方を伝える教育用マニュアルが伴って初めて、
クレーム対応のマニュアル化には意味があるといえます。


次回の「クリニック経営、次の一手」は、
「クレーム対応は誰のため(仮)」をお届けします。

[プロフィール]
長田 耕一(ながた・こういち)
フォーユーメディカル株式会社 取締役副社長。
¥広域医療法人の元法務責任者としてクレーム対応を経験。その数は1,000件を超える。現在は、医院の第三者継承をマッチングする「クリニックM&A」事業にてM&Aアドバイザーとして年間20件以上の譲渡成立を支援するとともに、医師会や企業研修での講演、各種媒体でのコラム執筆などで活動中。共著に「医業承継の完全実務」(日本法令)。
http://www.4um.co.jp/
http://www.clinicma.com/