境界・筆界について
境界・筆界について
土地家屋調査士の横田教和です。
今回は、境界と筆界について、書きたいと思います。
今さらそんな事知ってるよと思われる方も大勢いらっしゃると思いますが、
再確認のためにも読んで頂ければ嬉しいです。
■境界(所有権界)とは・・・
「私法」上の境界
一般的には、「所有権界」と呼ばれます。
①所有権の範囲を示す線
②所有者間の合意などによって,変更することができる
■筆界とは・・・
「公法」上の境界
①土地の区画を示す線
②分筆や合筆等の登記によらなければ,筆界は変更することができない
★そして土地家屋調査士が扱う境界はこの筆界です。
公法上の境界「筆界」と私法上の境界「所有権界」は、元々一致していた訳ですから、現在も一致している場合が多いと言えますが、
一筆の土地の一部を売買したにも関わらず、分・合筆登記がされていないとか、
土地の一部が時効取得されたとかで、「筆界」と「所有権界」が一致しなくなってしまった土地があります。
このような土地は、将来、境界紛争になる可能性を秘めた土地です。
境界紛争を未然に防ぐためには、過去の経緯を知っている人が元気なうちに、「筆界」と「所有権界」を一致させる必要があります。
しかし、「筆界」は、神のみぞ知ると言われるように、現地に復元することが非常に難しい境界です。
実務では、隣接地の所有者に協力して頂き、「所有権界」を確定して、「所有権界」から「筆界」を類推するという手法を取っています。
つまり、隣接地の所有者の協力が非常に重要になってきます。
隣接地の所有者と良好な関係があるうちに、境界を確定することをお勧めします。
そして境界標が亡失している場合や動いてしまっている場合には、隣接地の所有者に立会確認をして頂き、新たに境界標を設置いたします。
境界標の重要性を下記に記載しておきます。
◆境界標設置の5つの効用◆
1.境界紛争がなくなります。
境界標が現地に設置され、図面や資料で客観的に認識できれば、
境界紛争は起こらないはずです。
2.土地の管理を所有者によってできます。
自分の財産は自分で管理。
境界標を設置しておけば、家族でも管理することが可能です。
3.費用負担の軽減になります。
コンクリート杭や石杭は、木の杭より若干費用が高くなりますが、
将来腐敗して亡失した場合に復元することを考えれば木杭に比べ
てはるかに低廉となります。
4.取引や相続が迅速に行えます。
もし、譲渡や相続等が発生し土地を分割する場合に、境界標が設置
され図面や資料が残っていれば、迅速に処理ができます。
5.地図づくりの布石となります。
日本の地図づくりは、諸外国に比べて遅れています。
将来国が体系的に地図を作るときにも境界標は不可欠です。
つまり、境界標を設置することは、あなたが地図づくりに参画する
ことになります。
本日も最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。
土地家屋調査士法人 共立測量登記事務所
代表 横田教和