滅失忘れの建物について
土地家屋調査士の横田教和です。
今回は
「滅失忘れの建物」についてのお話をさせていただきます。
Question
「私は知人から、土地付きで中古の一軒家を購入しました。
銀行の融資を受けて増築とリフォームを考えています。
銀行が法務局の登記を調査したところ、購入した土地に、中古建物とは別に、
まったく知らない人の建物が登記上、残っていることがわかりました。
この所有者を探そうと知人に聞いてみたのですが、知人も知らない人だとのことです。
私はどうすればいいのでしょうか…?」
Answer
不動産登記法によると、
取壊し等で建物が滅失した時は、
取り壊した日から1ヶ月以内に、所有者が建物滅失登記を申請しなければなりません。
所有者が死亡しているときは、
その相続人が相続証明書を添付して滅失登記を申請しなければなりません。
今回の事例を推測すると、
登記簿上の建物は、購入した土地にかつて建っていたもので、
土地の所有者が移り変わったにもかかわらず、滅失登記をしていないため、
この古い建物が登記上残ってしまったと考えられます。
この場合、登記名義人の相続人がわかれば事情を話して協力してもらえる場合もありますが、
みつからない場合は利害関係人として、現に存在する建物の所有者から、
法務局の登記官に対して、建物滅失登記の申出を行うことが出来ます。
申出を受けた登記官は、現地調査のうえ職権により建物の登記を抹消することができます。
今回、法務局に滅失登記の申請か申出をしなければ
今後いつまでも、存在しない他人名義の建物登記が残ることになってしまいます。
また、登記してある建物には家屋番号が付いています。
例えば10番の土地には10番の家屋番号が付番されます。
通常、建物が1個だけなら、土地の地番と家屋番号は同じですが、
複数ある場合、「10番の2」、「10番の3」というように支号が付きます。
つまり、更地に居宅を新築した場合であっても、滅失忘れ建物があったりすると
本来使用すべき家屋番号が使えず影響を受けることになります。
今回の事例から、土地家屋調査士としてアドバイスさせていただくならば、
土地を購入する際は、「滅失忘れ建物がないかどうか確認する」ことが重要となります。
もっと詳しくお知りになりたい場合には、弊社の土地家屋調査士におたずねください。
本日も最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。
土地家屋調査士法人 共立測量登記事務所
代表 横田教和