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節税効果を最大限に! 役員報酬の設定方法

18.11.13
ビジネス【税務・会計】
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会社を経営するうえで、経営者は会社から役員報酬を得ることができます。
しかし「経営者なのだから役員報酬は多くもらうもの」と、目分量で役員報酬を決めてしまってはいませんか? 
適切な額を定めれば、中小企業にとっては大きな節税効果を見込むことができます。 
今回は、節税効果を上げる役員報酬の決め方についてご紹介します。
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役員報酬の額で変動する法人税と所得税

会社を経営していると、会社としての法人税のほか、役員報酬にかかわる個人としての所得税や住民税を支払い、さらに社会保険料も負担しなければなりません。
これらの税金を減らすことは、結果として手元にお金を残すことにつながります。

節税にはまず、会社の法人税率を下げることと、個人の所得税率を下げることが必須になります。
中小企業の場合、法人税率(実行税率)は会社の所得、いわば利益によって変動します。年間で400万円以下の利益の場合は21.4%、年間で800万円を超える利益を出した場合は33.8%の法人税がかかります。
つまり、利益が少なければ少ないほど、法人税率が低くなることがわかると思います。

一方、個人の所得税率も同様で、所得によって変動していきます。
195万円以下の所得であれば所得税率は5%で、195万円を超え、330万円以下であれば10%といった具合です。
経営者の中には役員報酬を高めに設定し、年間で4,000万円を超える収入を得ている人も存在します。
この場合は、なんと45%もの所得税が課せられてしまいます。
また住民税は、所得に関わらず一律で10%課税されるので、所得によっては、最大で55%もの税金が課せられる可能性があります。
このことから、個人の所得もできるだけ低くしたほうがよいことがわかります。

しかし、個人の役員報酬を少なくすると、その分が会社の利益になり、法人税率が上がってしまう可能性があります。
その逆もしかりで、役員報酬の分を損金として算入すれば法人税率は低くなりますが、今度は逆に個人の所得税率が高くなってしまいます。
法人の所得と個人の所得にそれぞれ莫大な税金がかかってしまうのであれば、結局、手元に残るお金は少なくなります。

最適な節税をするには、法人の所得と個人の所得のバランスを考えなければいけません。
そのためにはまず、適切な役員報酬の額を決める必要があります。


節税効果のある役員報酬の決め方とは?

役員報酬をいくらにすれば、最大の節税効果を得られるのでしょうか?
家族構成や年齢、事業の規模などケースバイケースですが、ここでは、40歳独身で資本金5,000万円の会社を運営しているという前提で考えてみます。

たとえば、役員報酬を除く会社の利益が年間で2,000万円あったケースで、役員報酬を年間で1,000万円受け取った場合と、1,500万円受け取った場合の、税率の違いを見てみましょう。
どちらも役員報酬以外の所得がなく、基礎控除のみ所得控除がある場合を前提とします。

・役員報酬が年間1,000万円の場合(会社の所得1,000万円)
個人の所得・住民税額は約184万円(※1)になり、会社の法人税額は約338万円になります。
所得税額と法人税額の合計は約522万円です。

・役員報酬が年間1,500万円の場合(会社の所得500万円)
個人の所得・住民税額は約386万円(※2)になり、会社の法人税額は約116万円になります。
所得税額と法人税額の合計は約502万円です。

※1
役員報酬  給与所得控除 基礎控除
((10,000千円-2,200千円-380千円)×23%-636千円)×102.1%+(10,000千円-2,200千円-330千円)×10%=1840千円

※2
((15,000千円-2,200千円-380千円)×33%-1,536千円)×102.1%+(15,000千円-2,200千円-330千円)×10%=1840千円=3,863千円


つまり、このケースでは、役員報酬を1,500万円にしたほうが、役員報酬を1,000万円にするよりも、会社と個人を合わせて考えると、約20万円も手元にお金が残ることになります。
一概に役員報酬を低く設定すればよいわけではないことが、おわかりいただけたのではないでしょうか。


多少の損を覚悟で会社にお金を残す選択も

もちろん、役員報酬の決定には会社の経営方針も関わってきます。
会社に資金を残しておくほうが、会社の財務体質を強固なものにし、会社間の取引を有利に進めることができます。
また、設備投資のためにも、会社に資金を多く残しておきたいという考え方もあります。
そのため、多めに法人税を払ってでも、個人より会社にお金を残しておきたいと考える経営者は少なくありません。

また、役員報酬には基準額などがあり、不相当に高額だった場合は、高額な部分の金額が損金に算入できなくなることもあります。
役員の業務内容や、会社の規模や業界の平均報酬によっても基準額が変動します。
このように、役員報酬は会社の状況に応じた適正額があり、それを見極めることが何よりも大切になってきます。
自社のためになる“最適な役員報酬”を設定しましょう。